Description of a work (作品の解説)
2010/01/13掲載
Work figure (作品図)
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ヴェネツィア、税関舎とサン・ジョルジョ・マジョーレ


(Ducal Palace, Dogano, with Part of San Georgio, Venice) 1842年
62.3×92.8cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー(ロンドン)

英国ロマン主義の巨匠ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの代表的な風景画作品『ヴェネツィア、税関舎とサン・ジョルジョ・マジョーレ』。本作はターナーが生涯で強く惹かれ、1840年にも旅行で再訪している≪ヴェネツィア≫で手がけた水彩画に基づいて制作された同地の風景画作品で、サン・マルコ広場近郊大運河入口に面するホテル・エウロパの船着場階段から税関舎方面を眺めた視点で描かれている。大運河を挟み、画面右側には中景としてヴェネツィアの税関舎が配され、その隣(画面中央)へはジュデッカ島、さらに画面左側へはサン・ジョルジョ・マジョーレ島の聖堂が遠景としておぼろげに描かれている。ターナーは例えば1833年に手がけた『ヴェネツィアを描くカナレット』などヴェネツィアの風景を主題とした作品を数多く制作しているが、1830年代に制作された作品群には伝統的なキアロスクーロ(明暗強調画法)的な描写が認められるものの、本作ではターナーの興味が揺らめくヴェネツィア大運河の水面に反射する明瞭な光の多様性や大気的様子、さらには移ろいゆく色彩の微妙な変化へより強く向けられていることがよく示されている。特に白色を下地とした風景内各要素の純色的な色彩の輝きや画面全体から醸し出される独特の幻想性は晩年期の画家の作風の大きな特徴であり、本作には晩年期様式へと至るターナーの様式の変化の過程が明確に表れている。


【全体図】
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光り輝くヴェネツィアの税関舎。本作はターナーが生涯で強く惹かれ、1840年にも旅行で再訪している≪ヴェネツィア≫で手がけた水彩画に基づいて制作された同地の風景画作品で、サン・マルコ広場近郊大運河入口に面するホテル・エウロパの船着場階段から税関舎方面を眺めた視点で描かれている。



【光り輝くヴェネツィアの税関舎】
ゴンドラで大運河を進む人々。大運河を挟み、画面右側には中景としてヴェネツィアの税関舎が配され、その隣(画面中央)へはジュデッカ島、さらに画面左側へはサン・ジョルジョ・マジョーレ島の聖堂が遠景としておぼろげに描かれている。



【ゴンドラで大運河を進む人々】
大気的な風景の描写と微妙な色彩。本作ではターナーの興味が揺らめくヴェネツィア大運河の水面に反射する明瞭な光の多様性や大気的様子、さらには移ろいゆく色彩の微妙な変化へより強く向けられていることがよく示されている。



【大気的な風景の描写と微妙な色彩】

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