2009/11/13掲載
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ポリュフェモスを愚弄するオデュッセウス(Ulysses Deriding Polyphemus - Homer's Odyssey) 1829年 132.8×203cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー 風景と溶け合うひとつ目の巨人ポリュフェモス。画面中央よりやや左上には後景として泥酔したところで眼を潰され己が棲む島の上で横たわるポリュフェモスが描かれているが、その姿は火山の煙によって腕と脚程度しか見えず、顔面や胴体などは風景と同化している。
【風景と溶け合う巨人ポリュフェモス】
巨人の棲む火山島から脱出する英雄オデュッセウスの一行。本作は、古代ギリシアの詩人ホメロスの叙事詩≪オデュッセイア≫に記される、英雄オデュッセウス一行が巨人ポリュフェモスに襲われかけるものの、巧みに酒宴を開き巨人が泥酔したところで眼を潰し火山島から脱出する場面を描いた作品である。
【脱出するオデュッセウス一行】
本場面を照らし出す朝の陽光。本作の彩度の高い純色的な色彩表現への傾倒や、伝統的で規範的なイタリア風の表現からの脱却と自身の様式への昇華には、画家の独自性を明確に感じることができ、19世紀英国の美術批評家ジョン・ラスキンも本作を「ターナーの画歴の中心をなす作品」に位置付けている。
【本場面を照らし出す朝の陽光】 |