2008/04/09掲載
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雨、蒸気、速度−グレート・ウェスタン鉄道1844年(Rain, Steam and Speed - The Great Western Railway) 90.8×121.9cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー
画面手前へ迫り来るような蒸気機関車の迫力とスピード感。本作に描かれるのは近代化を象徴する(グレート・ウェスタン鉄道)の蒸気機関車が、雨の中で蒸気を上げ、テムズ川に架かるメイドンヘッド橋の上を渡る情景を描いた作品である。
【迫り来るような蒸気機関車の迫力】
雨と蒸気の混じった独特の大気感。迫り来る機関車の前には野うさぎが必死に横切る姿が描かれており、この野うさぎの描写によってターナーは速度を表現した。また画面左部分のテムズ川には一艘の小船が描かれており、野うさぎと共にこれらには画家の近代化への何らかの意図が込められている。
【雨と蒸気の混じった独特の大気感】
おぼろげに見える後景の橋。本作には画家の近代性への強い興味が示されているが、近代化に対して否定的であったか肯定的であったかは現在も議論が続いている(一般的には否定的であったとする説が強い)。
【おぼろげに見える後景の橋】 |