Description of a work (作品の解説)
2008/04/09掲載
Work figure (作品図)
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雨、蒸気、速度−グレート・ウェスタン鉄道

 1844年
(Rain, Steam and Speed - The Great Western Railway)
90.8×121.9cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

英国を代表するロマン主義の風景画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー晩年の傑作『雨、蒸気、速度−グレート・ウェスタン鉄道』。本作に描かれるのは近代化を象徴する(グレート・ウェスタン鉄道)の蒸気機関車が、雨の中で蒸気を上げ、テムズ川に架かるメイドンヘッド橋の上を渡る情景を描いた作品である。本作には画家の近代性への強い興味が示されているが、近代化に対して否定的であったか肯定的であったかは現在も議論が続いている(一般的には否定的であったとする説が強い)。迫り来る機関車の前には野うさぎが必死に横切る姿が描かれており、この野うさぎの描写によってターナーは速度を表現した。また画面左部分のテムズ川には一艘の小船が描かれており、野うさぎと共にこれらにも画家の近代化への何らかの意図が込められていることは明白である。なおこの近代性についてはターナーから強く影響を受けた印象派の巨匠クロード・モネが手がけた同画題(蒸気機関車)の作品『サン・ラザール駅』などとしばしば比較されている(モネ自身はターナーを「幻想性豊かなロマン主義の画家」と位置付けており、自身の立場と明確な区別をしている)。本作の色彩描写や筆触についても、画家の晩年期の特徴である白色の地塗りを活かし色調を高めた(アカデミックな手法とは一線を画す)独特の色彩や、己の手をも利用した即興的で速筆的な筆さばきが存分に堪能することができる。


【全体図】
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画面手前へ迫り来るような蒸気機関車の迫力とスピード感。本作に描かれるのは近代化を象徴する(グレート・ウェスタン鉄道)の蒸気機関車が、雨の中で蒸気を上げ、テムズ川に架かるメイドンヘッド橋の上を渡る情景を描いた作品である。



【迫り来るような蒸気機関車の迫力】
雨と蒸気の混じった独特の大気感。迫り来る機関車の前には野うさぎが必死に横切る姿が描かれており、この野うさぎの描写によってターナーは速度を表現した。また画面左部分のテムズ川には一艘の小船が描かれており、野うさぎと共にこれらには画家の近代化への何らかの意図が込められている。



【雨と蒸気の混じった独特の大気感】
おぼろげに見える後景の橋。本作には画家の近代性への強い興味が示されているが、近代化に対して否定的であったか肯定的であったかは現在も議論が続いている(一般的には否定的であったとする説が強い)。



【おぼろげに見える後景の橋】

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