2009/10/08掲載
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難破船(The Shipwreck) 1805年78×122cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー(ロンドン)
ボートにしがみつく人々の必死な姿。本作はオランダの画家ファン・デ・フェルデの海洋図版画に比類する海景図を求めたブリッジウォーター公爵の依頼により制作された連作的海景図作品群の中の1点である。
【ボートにしがみつく人々の必死な姿】
荒れ狂う海上と白波。船ごと飲み込まんとする高波にさらわれまいと必死にボートにしがみつく生存者らの姿は、ドラマチックな印象を観る者に与えるのみならず、自然の驚異をより強調する効果も発揮しており、我々は今も強い感銘を受けることができる。
【荒れ狂う海上と白波】
観る者の不安を煽る重苦しい雲。画家は「この版画が私を画家にしてくれた」と発言するほど、一連の海景図作品の源流ともなったファン・デ・フェルデの版画から多大な影響を受けており、うねるような海流の躍動的表現などにそれが鮮明に表れている。
【観る者の不安を煽る重苦しい雲】 |