Description of a work (作品の解説)
2009/01/12掲載
Work figure (作品図)
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浴槽に入る薔薇色の裸婦(浴槽のピンク色の裸婦)


(Nu rose à la baignoire) 1924年
106×96cm | 油彩・画布 | 個人所蔵

親密派(アンティミスム)の画家ピエール・ボナールが手がけた裸婦画の代表的な作例のひとつ『浴槽に入る薔薇色の裸婦(浴槽のピンク色の裸婦)』。本作は画家が長きにわたって親密な交際を続けてきたマリア・ブールサン(通称マルト)と結婚する前年(1924年)に制作された、浴槽に入る女性を画題とした裸婦作品で、ボナールの他の裸婦作品同様、マルトをモデルとしている。画面中央に配される、外側が濃緑の浴槽へ左足の甲を洗いながら入るマルトの姿は女性らしい丸みを帯びた柔らかな姿態で描かれており、薔薇色の肌が明瞭な光によって輝いている。本作の日常性や客観的写実性には印象派の巨人エドガー・ドガの影響が予てから指摘されているが、柔和で暖かみを感じさせる色彩や雰囲気の表現にはボナールの個性が滲み出ている。また(潔癖症との記述も残されている)浴槽に入るマルトの細身で官能的な瞬間の描写にはボナールの瞳に映った最愛の女性マルトの理想化された姿が顕著に感じられ、それは本作を観る者にもよく伝わってくる。さらに本作の名称ともなっているマルトの複雑に輝く薔薇色の肌の濃密で幻想性豊かな色彩は、背後の色とりどりに配されるタイルと見事な調和を示しているほか、画面下部に描かれる浴槽外側の濃緑と明確な対比を示している。なおボナールは『右足を上げた裸婦』や『大きな青の裸婦』など、本作のような片足を上げる裸婦の姿を描いた作品を複数手がけていることが知られている。

関連:『右足を上げた裸婦』
関連:『大きな青の裸婦』


【全体図】
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(潔癖症との記述も残されている)浴槽に入るマルトの姿。本作は画家が長きにわたって親密な交際を続けてきたマリア・ブールサン(通称マルト)と結婚する前年(1924年)に制作された、浴槽に入る女性を画題とした裸婦作品で、ボナールの他の裸婦作品同様、マルトをモデルとしている。



【浴槽に入るマルトの姿】
薔薇色に輝くマルトの肌。本作の日常性や客観的写実性には印象派の巨人エドガー・ドガの影響が予てから指摘されているが、柔和で暖かみを感じさせる色彩や雰囲気の表現にはボナールの個性が滲み出ている。



【薔薇色に輝くマルトの肌】
浴場へ取り付けられた色彩豊かなタイル。本作の名称ともなっているマルトの複雑に輝く薔薇色の肌の濃密で幻想性豊かな色彩は、背後の色とりどりに配されるタイルと見事な調和を示しているほか、画面下部に描かれる浴槽外側の濃緑と明確な対比を示している。



【取り付けられた色彩豊かなタイル】

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