Description of a work (作品の解説)
2008/05/17掲載
Work figure (作品図)
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シューマンを聞きながら


(En écoutant du Schumann) 1883年
101.5×116.5cm | 油彩・画布 | ベルギー王立美術館

ベルギー象徴主義を代表する画家フェルナン・クノップフ初期の代表作『シューマンを聞きながら』。1884年、1886年の二十人会に出品され大きな反響と議論を呼んだ本作は、(おそらくは)クノップフの母親をモデルに、画家自身、熱狂的な崇拝者であったロマン派を代表する音楽家のひとりロベルト・シューマンの曲を室内で聴く女性の姿を描いた作品である。画面中央ではひとりの婦人が、椅子に座り音楽に耳を傾けているが、蟀谷(こめかみ)のあたりを押さえ、右手で顔を覆うような仕草は、この婦人の表情を絶妙に隠しており、その姿態や雰囲気はまるで何かに悩み、頭を抱えているかのような印象さえ受ける。画面奥左端には譜面と共に一台のピアノが置かれており、演奏する者の右肘から下部分が見えている。また、この部屋に配される椅子等の家具、質の高そうな絨毯、暖炉の上に飾られる豪壮な燭台などから、この婦人は裕福なブルジョワ階級層であることがうかがえる。1884年の初公開当時、この印象主義的な表現について賛否の論争が巻き起こった本作ではあるが、1886年にクノップフ同様、ベルギー印象主義・象徴主義を代表する画家のひとりジェームズ・アンソール作『ロシア音楽(1881年制作)』と同時に二十人会で展示された際には、その類似性についてアンソール自身から「これはただの真似である」と激しく批難されたものの、同時代を代表する詩人エミール・ヴェラーレンは「この厳格かつ高貴な作品は非常に重要だ。音楽に耳を傾ける女性は、この作品を、そう、ひとつの魂にまで高めている。」と高く評価した。なお本作の類似性に関する批難をきっかけに、クノップフとアンソールの間には埋めがたい深い亀裂が生じ、以後、その関係は修復されることはなかった。


【全体図】
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椅子に座り音楽に耳を傾ける婦人。1884年、1886年の二十人会に出品され大きな反響と議論を呼んだ本作は、(おそらくは)クノップフの母親をモデルに、画家自身、熱狂的な崇拝者であったロマン派を代表する音楽家のひとりロベルト・シューマンの曲を室内で聴く女性の姿を描いた作品である。



【椅子に座り音楽に耳を傾ける婦人】
演奏者が描かれない一台のピアノ。1886年にジェームズ・アンソール作『ロシア音楽(1881年制作)』と同時に二十人会で展示された際には、その類似性についてアンソール自身から「これはただの真似である」と激しく批難された。



【演奏者が描かれない一台のピアノ】
暖炉の上に飾られる豪奢な燭台。画面中央ではひとりの婦人が、椅子に座り音楽に耳を傾けているが、蟀谷(こめかみ)のあたりを押さえ、右手で顔を覆うような仕草は、この婦人の表情を絶妙に隠しており、その姿態や雰囲気はまるで何かに悩み、頭を抱えているかのような印象さえ受ける。



【暖炉の上に飾られる豪奢な燭台】
質の高そうな絨毯と一台の椅子。印象主義的な表現について賛否の論争が巻き起こった本作の部屋に配される椅子等の家具や暖炉の上に飾られる豪壮な燭台などから、この婦人が裕福なブルジョワ階級層であることがうかがえる。



【質の高そうな絨毯と一台の椅子】

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