2005/12/23掲載
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接吻(Der kuβ) 1907-1908年180×180cm | 油彩・画布 | オーストリア美術館(ウィーン)
黄金に溶け合い、接吻する男女。クリムト自身と恋人エミーリエ・フレーゲをモデルとして描いた本作は、それまで画家が描いてきたファム・ファタル的女性像と一線を画し、全てを委ねるかのように受動的であり、そして退廃的である。
【黄金に溶け合い、接吻する男女】
それぞれが纏う衣の装飾≪四角≫と≪円形≫。これらの平面的な図形は、男女それぞれへの補完を意味しているものであり、同時に男女の間に潜む敵意を示しているとされている。
【纏う衣の装飾≪四角≫と≪円形≫】
愛に潜む悲劇を示す崖。男女が立っている色彩豊かな花の咲く崖は、男女の愛の絶頂期においても、愛や幸せ、そして疑心や不安が紙一重であることを示し、否が応にも見る者にその先に待つ悲劇を予感させる。
【愛に潜む悲劇を示す崖】 |