Description of a work (作品の解説)
2005/12/23掲載
Work figure (作品図)
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接吻

 (Der kuβ) 1907-1908年
180×180cm | 油彩・画布 | オーストリア美術館(ウィーン)

ゼツェッション(ウィーン分離派)最大の画家グスタフ・クリムトが残した傑作『接吻』。おそらく画家の最も著名な作品である本作は、クリムトと恋人であったエミーリエ・フレーゲと最も良い関係であった頃に自身らをモデルにして、当時タブーとされていた題材である≪接吻≫を主題とし描いた作品で、1908年にウィーンで開催された総合芸術展≪クンストシャウ≫で、検閲を逃れ発表された本作は熱狂的なまでに大好評を博し、クンストシャウ終了直後にオーストリア政府に買い上げるという、国が認めた名作であることのみならず、ファム・ファタル(運命の女)思想とエロス的表現を、クリムト独自の世界観による金箔を使用した、いわゆる黄金時代期において頂点を成す、最も優れた作品としても広く知られている。眩いばかりの黄金の中に溶け合う男と女は、非現実的でありながらも、極めて深い思想と官能性に満ちている。それは平面的に描かれる男性の纏う衣の装飾≪四角≫と、女性の纏う衣の装飾≪円形≫が補完を意味しているものであり、同時に男女の間に潜む敵意をも表しているからに他ならない。また男女が立っている色彩豊かな花の咲く崖が、愛の絶頂期においても愛や幸せと疑心や不安が紙一重であることを示し、否が応にも見る者にその先に待つ悲劇を予感させる。


【全体図】
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黄金に溶け合い、接吻する男女。クリムト自身と恋人エミーリエ・フレーゲをモデルとして描いた本作は、それまで画家が描いてきたファム・ファタル的女性像と一線を画し、全てを委ねるかのように受動的であり、そして退廃的である。



【黄金に溶け合い、接吻する男女】
それぞれが纏う衣の装飾≪四角≫と≪円形≫。これらの平面的な図形は、男女それぞれへの補完を意味しているものであり、同時に男女の間に潜む敵意を示しているとされている。



【纏う衣の装飾≪四角≫と≪円形≫】
愛に潜む悲劇を示す崖。男女が立っている色彩豊かな花の咲く崖は、男女の愛の絶頂期においても、愛や幸せ、そして疑心や不安が紙一重であることを示し、否が応にも見る者にその先に待つ悲劇を予感させる。



【愛に潜む悲劇を示す崖】

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