2008/05/09掲載
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水蛇 I(Wasserschlangen I)1904-1907年 | ミクスト・メディア・羊皮紙 | 50×20cm オーストリア美術館(ウィーン) 関連:1898年 『流れる水』 関連:1899年頃 『水の精(銀の魚)』 関連:1901-1902年 『金魚』 関連:1904-1907年制作 『水蛇 II』 恍惚の表情を浮かべる女性。本作はクリムトがその画業の初期からしばしば取り組んできた≪水の中における官能的女性美≫を象徴的画題とした作品の中の1点であり、また同時に同系統の作品中、同性愛的傾向が顕著に示された最も優れた作品としても広く認められている。
【恍惚の表情を浮かべる女性】
グロテスクな印象の魚。抱き合う女性らの背後にはまるで文様のような鱗が特徴的な水蛇が女性たちの官能的な愛の世界と絡み合うかのように配されており、ある種の象徴的雰囲気を感じさせることに成功している。
【グロテスクな印象の魚】
平面的に様式化された描写。女性2名の水中で揺らめく細い黄金の髪やそれと呼応するかのような水蛇の文様、そして同色の水草に示される単純化された形状による主題の象徴的表現は当時のクリムトの典型を明確に感じることができ、またその完成度も極めて高い。
【平面的に様式化された描写】 |