2009/05/18掲載
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オイディプスとスフィンクス(Œdipe et le Sphinx) 1864年206.4×104.7cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館
美しくも無力的なオイディプスの姿。本作は女性の頭部と獅子の肉体を持つ怪物スフィンクスに「朝は4足、昼は2足、夜は3足で歩むものは何か?」と謎をかけられる(未来のテバイ王)オイディプスの最も有名な神話上の逸話のひとつ≪オイディプスとスフィンクス≫を主題にした作品である。
【美しくも無力的なオイディプスの姿】
挑発的な視線を向ける猛々しいスフィンクス。獅子の肉体をオイディプスの身体にしがみつけ挑発的な視線を向けるスフィンクスは猛々しく逞しさを感じさせるのに対し、オイディプスは端整で美しくありながらも答えるしか生き残る術が無く、非常に無力的である。
【挑発的な視線を向けるスフィンクス】
オイディプスの身体にしがみつくスフィンクス。各構成要素の表現にはアンドレア・マンテーニャ、ペルジーノ、ヴィトーレ・カルパッチョなどルネサンス期のイタリアの巨匠らの影響を感じさせるものの、このような非伝統的かつ精神性深い場面描写にはモローの独自性を強く見出すことができる。
【身体にしがみつくスフィンクス】 |