2009/12/20掲載
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ガラテイア(ガラテア)(Galatée) 1880年85.5×67cm | 油彩・板 | オルセー美術館(パリ)
憂鬱そうな表情を浮かべる艶かしいガラテアの姿。本作は≪変身物語≫に記される、巨人族キュクロプスの中で特に粗暴で知られる一つ目の巨人≪ポリュペモス≫が、海神ネレウスの娘の中のひとりで、水晶より輝き白鳥の綿毛より柔らかと称された美しい海のニンフ≪ガラテイア(ガラテア)≫を見初める場面を主題とした作品である。
【艶かしいガラテアの姿】
ガラテアの身体に絡みつく海中植物。波打った黄金の髪を掻き揚げる憂鬱的なガラテアへ絡みつくかのような海中植物は、パリの自然史博物館などでの綿密な研究・調査をおこなった上で丹念な筆触により極めて写実的に描写されている。
【ガラテアの身体に絡みつく海中植物】 ガラテアへ絶望的な視線を向けるポリュペモス。画面奥へは岩場の隙間から美しきガラテアを目撃し、心を奪われる一つ目の巨人ポリュペモスが配されているが、その姿には巨人族特有の怪物的な印象を受けることはなく、むしろ叶わぬ恋に苦しむ男を連想することができる。
【絶望的な視線を向けるポリュペモス】 |