2010/01/17掲載
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人類の生(La vie de l'Humanité) 1886年最上部 37×93cm,各 33×35cm | 油彩・板 | モロー美術館 関連:『人類の生:各部解釈と対応表』
アダム(黄金の時代)の物語における朝の祈り。9つに分割される場面は左から右へと朝、昼、晩と時間的経過を表しており、上段には『アダム』の物語が、中段には『オルフェウス』の物語が、下段には『カイン』の逸話が描かれている。
【アダムの物語における朝の祈り】 オルフェウス(白銀の時代)における昼の歌。『アダム』、『オルフェウス』、『カイン』は古代ギリシアの詩人ヘシオドスの著書「労働と日々」での各時代『黄金時代』、『白銀の時代』、『鉄の時代』に呼応している。
【オルフェウスにおける昼の歌】 カイン(鉄の時代)における晩の死。『アダム』の物語は朝に祈り、昼に陶酔、晩に眠りと人類の純粋な活動が示されており、『オルフェウス』における朝=夢、昼=歌、夜=涙のように青春と苦悩の時を経て、『カイン』の朝の種まき(生産)、昼の労働、そして晩の死へと続いている。
【カインにおける晩の死】 人類の終着地としての贖主イエス。聖書中の主題や神話の逸話から9つの場面を選定し≪人類の3つの時期(又は人類の歴史的段階)≫を表した多翼祭壇画形式の大作である本作の画面最上部の半円形の画面には人類が至る終着地として≪贖主イエス≫の姿が配されている。
【人類の終着地としての贖主イエス】 |