Description of a work (作品の解説)
2009/11/15掲載
Work figure (作品図)
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ナイル川に捨てられたモーセ


(Moïse exposé sur le Nil) 1878年
185.5×134.6cm | 油彩・画布 | フォッグ美術館

19世紀フランス象徴主義の画家ギュスターヴ・モローを代表する宗教的主題作品『ナイル川に捨てられたモーセ』。同年に開催されたパリ万国博覧会への出品作としても知られる本作は、旧約聖書中≪出エジプト記≫1-2章に記される、エジプトで増加の一途を辿るイスラエル人に脅威を感じたファラオ(エジプトの王)が、ある時、イスラエル人を導く救世主が産まれたとの報告を受け、エジプトに住むイスラエル人の男児の赤子を全て殺害するよう命令を下すものの、イスラエル人ヨケベドが、三ヶ月間隠し育てた我が子モーセの身の危険を察し、産まれて間も無いモーセを葦舟に乗せ、茂みからナイル川に流す場面≪ナイル川に捨てられたモーセ≫を主題とした作品である。画面中央下部には近景として、葦で編まれた籠舟に乗せられナイル川へと流される赤子のモーセ(後のイスラエルの指導者。父なる神から与えられた十戒でも良く知られる)の無垢な寝顔を浮かべる姿が配されており、全身、特に顔部分には後光が輝いている。そして中景にはペリカンなど数羽の鳥が翼を広げながら飛んでゆく姿と共に、穏やかに流れるナイル川の水面が描写されており、さらに後景にはエジプト様式による背の高い古代建築群が陽光に包まれるように描き込まれている。モローは本主題における赤子のモーセに対して、法による統治の希望や繁栄の象徴の意図をモーセの顔や肉体にかかる後光によって示している。また本作においては中景から遠景、画面中央から画面上部へかけて暗から明へと変化する渓谷のような古代エジプトの廃墟的建築物の繊細で幻想的な色彩も秀逸な出来栄えであり、大きな見所である。


【全体図】
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後光が射す無垢な赤子のモーセ。パリ万国博覧会への出品作としても知られる本作の画面下部へ描かれる赤子のモーセに対して、モローは法による統治の希望や繁栄の象徴の意図を、モーセの顔や肉体にかかる後光によって示している。



【後光が射す無垢な赤子のモーセ】
穏やかなナイル川の水面。画面中央下部には近景として、葦で編まれた籠舟に乗せられナイル川へと流される赤子のモーセ(後のイスラエルの指導者。父なる神から与えられた十戒でも良く知られる)の無垢な寝顔を浮かべる姿が配されており、全身、特に顔部分には後光が輝いている。



【穏やかなナイル川の水面】
繊細な色彩で描写される古代エジプトの建築物。本作においては中景から遠景、画面中央から画面上部へかけて暗から明へと変化する渓谷のような古代エジプトの廃墟的建築物の繊細で幻想的な色彩も秀逸な出来栄えであり、大きな見所である。



【古代エジプトの建築物】

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