Description of a work (作品の解説)
2010/06/02掲載
Work figure (作品図)
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求婚者たち

 (Les prétendants) 1852-1896年
385×343cm | 油彩・画布 | ギュスターヴ・モロー美術館

フランス象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モローの代表作『求婚者たち』。1852年から制作が開始されたものの、一時中断された後、1882年頃から再び制作が再開され1896年に完成されたという非常に長期間を経て手がけられた本作は、古代ギリシアの偉大なる詩人ホメロスの傑作叙事詩≪オデュッセイア≫第22歌として記される英雄オデュッセウスの帰還の場面を主題に制作された作品である。本作は叙事詩≪オデュッセイア≫でトロイア戦争後、20年あまりの放蕩的冒険の末に母国へ帰還した英雄オデュッセウスであるが、オデュッセウスの留守中に彼の妻ペネロペへ求婚した幾多の者らが宮殿広間で傍若無人に酒宴を開催する姿を目の当たりに、弓で求婚者らを射殺したという逸話に基づいて制作されるが、英雄オデュッセウスは画面奥の扉の前で弓射る姿として小さく描かれるのみであり、最も観る者の眼を惹きつけるのは画面の中央やや右側に配される女神アテネ(ローマ神話における女神ミネルヴァと同一視される)の存在である。作品中で一際輝きを帯び、英雄オデュッセウスへ啓示を与えるかのような女神アテネの姿は神々しさと幻想性に溢れ、またその圧巻的な生の象徴性は画面前景から中景にかけて配されるオデュッセウスに射られ死した幾多の求婚者らの姿と見事な対比を示している。また本作の複雑な群集構図や表現様式に注目しても、長い月日を経て制作されているが故に画家自身の描写的特徴の変化が本作に多様性を生み出す結果となって表れており、観る者を強く惹きつける。


【全体図】
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光り輝く女神アテネの存在。作品中で一際輝きを帯び、英雄オデュッセウスへ啓示を与えるかのような女神アテネの姿は神々しさと幻想性に溢れ、またその圧巻的な生の象徴性は画面前景から中景にかけて配されるオデュッセウスに射られ死した幾多の求婚者らの姿と見事な対比を示している。



【光り輝く女神アテネの存在】
求婚者らを射殺する英雄オデュッセウス。1852年から制作が開始されたものの、一時中断された後、1882年頃から再び制作が再開され1896年に完成された本作は、古代ギリシアの偉大なる詩人ホメロスの傑作叙事詩≪オデュッセイア≫記される英雄オデュッセウスの帰還の場面を主題に制作された作品である。



【求婚者らを射殺するオデュッセウス】
矢で射られ死した求婚者。本作は叙事詩≪オデュッセイア≫でトロイア戦争後、20年あまりの放蕩的冒険の末に母国へ帰還した英雄オデュッセウスであるが、オデュッセウスの留守中に彼の妻ペネロペへ求婚した幾多の者らが宮殿広間で傍若無人に酒宴を開催する姿を目の当たりに、弓で求婚者らを射殺したという逸話に基づいて制作される。



【矢で射られ死した求婚者】

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