Description of a work (作品の解説)
2009/08/11掲載
Work figure (作品図)
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メディア(メデア)

 (Poster for Médée) 1898年
207×76.5cm | リトグラフ | 所蔵先複数

偉大なるアール・ヌーヴォー様式の巨匠アルフォンス・ミュシャを代表するポスター作品『メディア(メデア)』。本作は古代ギリシャ三大悲劇詩人のひとりエウリピデスの傑作≪メディア(メデア)≫を基に、19世紀の詩人カチュール・マンデスがサラ・ベルナールのために戯曲化した舞台劇のポスター作品である。戯曲≪メディア≫は、古代の英雄イアソンが権力と財産に惹かれ、妻であるメディアと2人の息子を捨て、コリントス王クレオンの娘グラウケーとの婚姻を承諾したことからメディアが怒り狂い、クレオン父娘の殺害、そして苦悩の果てに元夫イアソンに残された最後の希望であった2人の息子までも殺害してしまうという復讐的悲劇で、サラ・ベルナールは裏切られ復讐心に身悶える主役メディアを熱演したものの、興行的には凡庸であったと伝えられている。本作の場面はメディアが息子を短剣で殺害してしまうという本戯曲における最高潮である場面で、本作に描かれるメディアは愕然と目を見開き、右手に血のついた短剣を手にしながら観る者へと狂気的な視線を向けている。メディアの足下には自身で刺殺した息子が折り重なるように倒れており、決定的な死を容易に連想させる。またメディアの背後には不吉な印象を強調する朝日が昇っている様子が象徴的に配されている。登場人物の性格的側面を的確に描写しながらも、ポスターとしての興味を惹き付ける印象度も損なわない表現や、都会的で洗練された画面構成などは画家のポスター作品の中でも秀逸の出来栄えを示しており、今なお観る者を魅了する。


【全体図】
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狂気的なメディアの瞳。本作は古代ギリシャ三大悲劇詩人のひとりエウリピデスの傑作≪メディア(メデア)≫を基に、19世紀の詩人カチュール・マンデスがサラ・ベルナールのために戯曲化した舞台劇のポスター作品である。



【狂気的なメディアの瞳】
息子を刺殺し血のついた短剣。本作の場面はメディアが息子を短剣で殺害してしまうという本戯曲における最高潮である場面で、本作に描かれるメディアは目を見開き、右手に血のついた短剣を手にしながら観る者へと狂気的な視線を向けている。



【息子を刺殺し血のついた短剣】
決定的な死を連想させる息子の姿。登場人物の性格的側面を的確に描写しながらも、ポスターとしての興味を惹き付ける印象度も損なわない表現や、都会的で洗練された画面構成などは画家のポスター作品の中でも秀逸の出来栄えを示している。



【決定的な死を連想させる息子の姿】

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