2010/02/11掲載
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スラヴ叙事詩−原故郷のスラヴ民族(The Slave in their Original Homeland) 1911年 | 610×810cm | 油彩・テンペラ・画布 モラフスキー・クロムロフ城
怯えた様子で茂みに隠れるスラヴ民族の男女。本作はミュシャが1910年に故郷チェコへと帰郷した翌年から制作が開始された、(画家も血を引き自身のアイデンティティにもなっていた)スラヴ民族の歴史を主題とする全20枚から構成される連作群≪スラヴ叙事詩≫の最初の場面≪原故郷のスラヴ民族≫である。
【茂みに隠れるスラヴ民族の男女】 蛮族として扱われる他民族。紀元前3〜6世紀頃の農耕民族時代のスラヴ民族が描かれる本作では画面下部中央よりやや左側の前景に一組の男女のスラヴ民族が描き込まれているが、その様子は中景に配されるアラブ風の衣服を身に着けた騎馬隊の襲来に怯えるかのように身を縮ませ茂みに身を隠している。
【蛮族として扱われる他民族】 超常的なスラヴ民族の守護天使と戦争の象徴。本作は絵画作品として注目しても、スラヴ民族の歴史の創始を予感させる星が輝く夜と始まりの光を蒼白い色彩によって幻想性豊かに描写される独特の場面描写はミュシャの画家としての完成度の高さを強く感じさせる。
【超常的なスラヴ民族の守護天使】 |