Description of a work (作品の解説)
2009/09/10掲載
Work figure (作品図)
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連作≪四つの星−月≫


(The Four Stars "The Moon") 1902年
79×39.5cm | リトグラフ | 所蔵先複数

アール・ヌーヴォー様式を代表する画家アルフォンス・ミュシャ異色的作品のひとつ『連作≪四つの星−月≫』。本作は1896年以降、数多く制作された4点1組による装飾パネル作品の中の1点で、≪宵の明星≫、本作である≪月≫、そして≪明けの明星≫≪北極星≫と星(月)を作品のモチーフ(主題)としている。画面中央に配される月の象徴たる女性は、口元へ手を置きながら魅惑的な視線を観る者へと向けている。その姿態は女性らしい細く儚げでありながら、しなやかな柔らかさを存分に感じさせる。女性の背後には三日月が闇夜を薄く包み込むような光を放ちながら白く輝き、観る者に神秘的な印象を与えることに成功している。さらに本作中へ描かれる漆黒の夜の中には星が5つ描き込まれており三日月の象徴性をより強調させている。さらに画面周囲の枠はミュシャの得意とした単純化された白い花や茎で構成されており、ひとつの作品としての画家の個性を顕著に見出すことができる。本作で最も注目すべきは≪夜≫を舞台とした場面設定とした、当時のミュシャとしては非常に珍しい暗色の使用にある。本連作≪四つの星≫では、主題である星(本作では月)の美しさや神秘的輝きを最も活かすために背景には薄暗い暗色が用いられており、その効果は一目瞭然である。このような場面描写は、それまで画家が手がけてきた華やかで温かさを感じさせる過去の作品とは明らかに異質なものであるが、この独特の象徴性を感じさせる表現こそ、その後の画家の様式的特徴であり、本連作はその先駆を感じさせる点でも重要視されている。

関連:連作≪四つの星−宵の明星≫
関連:連作≪四つの星−明けの明星≫
関連:連作≪四つの星−北極星≫


【全体図】
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魅惑的な表情を浮かべる女性。本作は1896年以降、数多く制作された4点1組による装飾パネル作品の中の1点で、≪宵の明星≫、本作である≪月≫、そして≪明けの明星≫≪北極星≫と星(月)を作品のモチーフ(主題)としている。



【魅惑的な表情を浮かべる女性】
闇夜の中で神秘的に輝く星々。女性の背後には三日月が闇夜を薄く包み込むような光を放ちながら白く輝き、観る者に神秘的な印象を与えることに成功しており、さらに本作中へ描かれる漆黒の夜の中には星が5つ描き込まれており三日月の象徴性をより強調させている。



【闇夜の中で神秘的に輝く星々】
単純化された植物による装飾。、主題である星(本作では月)の美しさや神秘的輝きを最も活かすために背景には薄暗い暗色を用いた独特の象徴性を感じさせる表現こそ、その後の画家の様式的特徴であり、本連作はその先駆を感じさせる点でも重要視されている。



【単純化された植物による装飾】

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