Description of a work (作品の解説)
2010/01/19掲載
Work figure (作品図)
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青い花瓶のアネモネとリラ(青い壷のアネモネとリラ)


(Anémones dans un vase bleu) 1912年頃
73.8×59.7cm | パステル・紙 | プティ・パレ美術館(パリ)

フランス象徴主義の大画家オディロン・ルドンの代表的な静物画作品のひとつ『青い花瓶のアネモネとリラ(青い壷のアネモネとリラ)』。本作は画家が1900年代以降に数多く手がけるようになった重要なモティーフのひとつである≪花≫を画題とした作品の代表的な作例のひとつである。画面中央下部には深い青色のやや端整な卵型の花瓶が配されており、そこには赤色や桃色、紫色、淡い青色、白色に近い空色(水色)、そして黄色などの花弁を開かせる多種多様な花が描かれており、葉の緑色や背景の強い橙色と見事な色彩的対比を示している。さらにこの背景色は画面下部へと下降するに従い、花瓶の青色と同化するように濃く強い紫色へと色彩的変化している。ルドンは20世紀初頭に台頭してきたフォーヴィスム(フォービスム、野獣派)の画家たちなどから色彩画家としての新たなる評価を受けており、本作には画家の色彩家としての豊かな才能が存分に示されている。さらにルドンの手がける花の作品の大きな特徴としては写実性を感じさせながらもどこか儚げで疎外的な幻想性にある。強く明確な色彩による花々はいずれも輪郭は花弁らしい形態を示しているものの立体性には乏しく、まるで平面的構成が強調されているかのようでもある。さらに輪郭自体も明確である花と背景に溶け込むような花とのおぼろげな差異が観る者に不可思議な感覚を与えている。この視覚的効果こそルドンの目に映る(精神的)世界そのものでもあり、観る者は強い印象を受けるのである。


【全体図】
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多種多様な花の色彩。本作は画家が1900年代以降に数多く手がけるようになった重要なモティーフのひとつである≪花≫を画題とした作品の代表的な作例のひとつで、画面中央には深い青色のやや端整な卵型の花瓶と多種多様な花が描かれている。



【多種多様な花の色彩】
おぼろげに背景と同化する花瓶の花。ルドンは20世紀初頭に台頭してきたフォーヴィスム(フォービスム、野獣派)の画家たちなどから色彩画家としての新たなる評価を受けており、本作には画家の色彩家としての豊かな才能が存分に示されている。



【おぼろげに背景と同化する花瓶の花】
深く沈み込むような花瓶の色彩。ルドンの手がける花の作品の大きな特徴としては写実性を感じさせながらもどこか儚げで疎外的な幻想性にある。強く明確な色彩による花々はいずれも輪郭は花弁らしい形態を示しているものの立体性には乏しく、まるで平面的構成が強調されているかのようでもある。



【深く沈み込むような花瓶の色彩】

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