Description of a work (作品の解説)
2009/09/13掲載
Work figure (作品図)
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アリ・ルドンの肖像

 (Portrait d'Arï Redon) 1896-97年
45.5×31.5cm | パステル・紙 | シカゴ美術研究所

フランス象徴主義を代表する画家オディロン・ルドンの傑作『アリ・ルドンの肖像』。本作はルドンの最愛の息子である≪アリ・ルドン≫の7歳又は8歳頃の姿を描いた肖像画作品である。画家にとって次男アリは長男ジャンの死(※長男ジャンは生後6ヶ月で死した)から3年後の1889年に誕生した待望の息子で、この次男の誕生は『目を閉じて(閉じられた目、瞑目)』にも示されるよう、画家の作風を激変させるほどルドン自身の幸福の根幹的存在であった。画面中央下部やや右寄りに描かれる次男アリ・ルドンは虚空を見つめるかのような無表情的表情を浮かべている。しかしその描写はルドンの肖像的作品としては非常に珍しく正面から捉えられ、かつ写実性に富んでおり、観る者に対象者、そして画家自身の内面的性格を顕著に感じさせる。その一方、背景として描き込まれる象徴的な小花には画家の大きな特徴である幻想性や抽象性を感じさせる。この写実性と幻想性の対比が本作の独自性をより強調する効果を生み出しており、観る者に強烈な印象を残すのである。さらに本作で注目すべき点は秀逸な色彩表現にある。画面のベースとして(単色的な)緑色を使用し、画面左側にはやや赤味(桃色味)を帯びた乳白色を、右側には黄色を、そして画面中央から下部となるアリ・ルドンには赤褐色(茶色)とややくすんだ青色が絶妙な面積にて配色されている。さらに画面上部左右の花々には差し色(アクセント)として鮮やかな青色が置かれ、画面全体を引き締めている。用いられる色数そのものは少ないものの、その配色感覚と色彩の強弱表現には、かつて黒の時代と呼ばれたモノクローム調の作品が主であった画家とは思えないほど色彩家としての天賦の才能を見出すことができる。


【全体図】
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空虚な表情を浮かべる次男アリ・ルドン。画家にとって次男アリは長男ジャンの死から3年後の1889年に誕生した待望の息子で、この次男の誕生は『目を閉じて(閉じられた目、瞑目)』にも示されるよう、画家の作風を激変させるほどルドン自身の幸福の根幹的存在であった。



【空虚な表情を浮かべる次男アリ】
幻想性に溢れた背景の表現。本作はルドンの最愛の息子である≪アリ・ルドン≫の7歳又は8歳頃の姿を描いた肖像画作品で、アリに用いられた写実性と背景の幻想性の対比が本作の独自性をより強調する効果を生み出しており、観る者に強烈な印象を残すのである。



【幻想性に溢れた背景の表現】
単色的ながら絶妙な色彩配置。用いられる色数そのものは少ないものの、その配色感覚と色彩の強弱表現には、かつて黒の時代と呼ばれたモノクローム調の作品が主であった画家とは思えないほど色彩家としての天賦の才能を見出すことができる。



【単色的ながら絶妙な色彩配置】

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