2009/09/27掲載
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眼=気球(Eye-Balloon) 1878年42.2×33.3cm | 木炭・紙 | ニューヨーク近代美術館
遥か上空へと視線を向ける気球の眼。本作では画面左下に僅かに生える草以外何も描かれない空虚な荒野の中で、ぽっかりと浮かぶように気球が画面中央に描かれているが、その気球は遥か上空へと視線を向ける巨大な眼球として表現されている。
【上空へと視線を向ける気球の眼】
不可思議で不気味な物体。画家は幼少期に自然の中で孤独に遊ぶ中、己の≪眼≫で見るという力を培い、見る・見抜くという能力がその人物の知性は基より生きる上のあらゆる面で非常に重要であると認識していた。
【不可思議で不気味な物体】 荒野に僅かに生える草。本作から感じられる自然の中に潜む混沌とした不気味な恐怖感や幻想性はルドンの頭の中にある(少年期などの)記憶や想像によって創造される心象的世界の象徴化である。
【荒野に僅かに生える草】 |