Description of a work (作品の解説)
2010/03/23掲載
Work figure (作品図)
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花の中のオフィーリア

 (Ophélie) 1905-08年頃
64×91cm | パステル・紙 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

フランス象徴主義の巨匠オディロン・ルドンの文学的主題の代表的作品のひとつ『花の中のオフィーリア』。1905年から1908年にかけて制作された本作は、16世紀後半から17世紀初頭にかけて活躍した英国出身の劇作家ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇のひとつ≪ハムレット≫中、第4幕7章のデンマーク王子ハムレットが父を毒殺して母と結婚した叔父に復讐を誓うものの、その思索的な性格のためになかなか決行できず、その間に恋人オフィーリアを入水自殺という狂死に追いやってしまう場面を主題に手がけられた作品で、1889年のパリ万国博覧会に出品されたラファエル前派の画家らが制作した同主題の作品に着想が得られている。画面右側下部へは恋人ハムレットの狂気や同氏から無下に扱われたこと、そしてハムレットが(誤って)彼女の父である宰相ポローニアスを殺害してしまったことに対する深い悲しみによって入水自殺を図ったオフィーリアの姿が配されているが、その姿は横顔のみであり、さらに顔全体が切りに包まれているかのようにおぼろげな描写で表現されている。さらに画面中央から左側の大部分にかけては本作のもうひとつの主題とも言える色彩豊かな花々が奔放に描き込まれており、このオフィーリアの悲劇的な死が幻想的に表されている。また遠景となる紅に染まる空や、岩肌を連想される硬質的な山の描写には本主題に対するルドンの個性的な解釈と取り組みを見出すことができる。オフィーリアや花、背景などに用いられる赤色、青色、緑色、黄色など有彩色と、水面など画面下部で使用される無彩色の絶妙な面積比と配色バランスは画面全体から醸し出される幻想性と共に本作中で特に注目すべき点であり、それは今なお観る者を強く惹き付ける。


【全体図】
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入水自殺を図るオフィーリア。本作はシェイクスピアの≪ハムレット≫中、第4幕7章のハムレットが恋人オフィーリアを入水自殺という狂死に追いやってしまう場面を主題に手がけられた作品で、1889年のパリ万国博覧会に出品されたラファエル前派の画家らが制作した同主題の作品に着想が得られている。



【入水自殺を図るオフィーリア】
色彩豊かな花々。1905年から1908年にかけて制作された本作の画面中央から左側の大部分にかけては本作のもうひとつの主題とも言える色彩豊かな花々が奔放に描き込まれており、このオフィーリアの悲劇的な死が幻想的に 表されている。



【色彩豊かな花々】
輝くような光に包まれる空と硬質的な岩山。オフィーリアや花、背景などに用いられる赤色、青色、緑色、黄色など有彩色と、水面など画面下部で使用される無彩色の絶妙な面積比と配色バランスは画面全体から醸し出される幻想性と共に本作中で特に注目すべき点であり、それは今なお観る者を強く惹き付ける。



【光に包まれる空と硬質的な岩山】

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