Description of a work (作品の解説)
2010/02/10掲載
Work figure (作品図)
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後光を帯びた聖母マリア(輪光の聖母マリア)


(Vierge nimbée) 1898年
44.2×28cm | パステル・紙 | ゴッホ美術館(アムステルダム)

フランス象徴主義の画家オディロン・ルドンの代表的な宗教主題作品のひとつ『後光を帯びた聖母マリア(輪光の聖母マリア)』。ルドンが黒の時代を経て色彩を見出す直前又は直後頃に制作された本作は、無原罪にて神の子イエスを宿した(処女壊胎)逸話でもあまりに著名な≪聖母マリア≫が小船に乗りながら闇の中で光輪の眩い光に包まれる姿を描いた作品である。画面左側に配される聖母マリアは表情や仕草などは深い陰影に包まれ一切認識することはできない。しかし輝かんばかりの輪光によって外形のみがおぼろげに暗中に浮かび上がっており、聖母の神秘性が際立たされている。そして画面下部左側には小船の先付近から黄金色をした草の芽のようなものが下部右側へと伸びており、あたかも聖母の乗った小船の行き先を示しているかのようである。さらに画面上部には紫色と茜色の雲(※近年おこなわれた調査によって制作当初は紫色のパステルで描写されたものの、経年によって現在の色彩へと変色したと考えられている)が褐色の空に広がっており、観る者にある種の不安定な幻想性を植えつける。本作についてルドン自身は次のように述べている。「暗く褐色の空に紫と茜色の雲。左側の小船には後光に照らされた人物が乗っており、船首(舳先)からは金色の草の芽のようなものが伸びている。燐光のようなものを放つ青い水の上には鬼火のようなものがある。」。本作の明部と暗部の強い対比による神秘性の効果的な表現や静けさを醸し出す青色と心象的な感動を惹き起こす光の使用には画家の色彩家としての才覚を明確に感じることができる。


【全体図】
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光輪が射す聖母マリアの姿。ルドンが黒の時代を経て色彩を見出す直前又は直後頃に制作された本作は、無原罪にて神の子イエスを宿した(処女壊胎)逸話でもあまりに著名な≪聖母マリア≫が小船に乗りながら闇の中で光輪の眩い光に包まれる姿を描いた作品である。



【光輪が射す聖母マリアの姿】
黄金色の草の芽のようなもの。画面左側に配される聖母マリアは表情や仕草などは深い陰影に包まれ一切認識することはできない。しかし輝かんばかりの輪光によって外形のみが暗中に浮かび上がっており、聖母の神秘性が際立たされている。



【黄金色の草の芽のようなもの】
不気味的な雲の色彩。画面上部には紫色と茜色の雲(※近年おこなわれた調査によって制作当初は紫色のパステルで描写されたものの、経年によって現在の色彩へと変色したと考えられている)が褐色の空に広がっており、観る者にある種の不安定な幻想性を植えつける。



【不気味的な雲の色彩】

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