Description of a work (作品の解説)
2010/06/30掲載
Work figure (作品図)
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聖母の窓(ステンドグラス)

 (La grand vitrail)
1895-1903年頃 | 87×68cm | 木炭/パステル・紙
オルセー美術館(パリ)

19世紀フランス象徴主義の巨匠オディロン・ルドン作『聖母の窓(ステンドグラス)』。1895年から1903年頃にかけて制作された本作は、教会聖堂内の窓等に用いられた、着色ガラス片による模様装飾をモティーフとした木炭とパステルによる絵画作品である。教会内を思わせる薄暗い室内の中、画面中央へ中世ゴシック様式を連想させるステンドグラスが陽光を透過させながら神秘的な輝きを放っている。右から2番目のステンドグラスの中へは人物の姿を確認することができ、青色と橙色の補色的な色彩の対照性が観る者を強く惹きつける。このステンドグラス自体も特筆すべき内容であるが、本作で最も注目すべき点は画面左右に描かれる聖母と天使の姿にある。画面左側上部へはおそらく幼子イエスであろう赤子を抱いた聖母マリアが描かれているが、その表情はどこか憂いを感じさせる。またこの聖母子と対称的に画面右下へ配される天使はまるで涙を流すような表情を浮かべながら、古来より死や虚無を象徴する髑髏(頭蓋骨)を抱いている。この解釈については宗教的主題に基づく救世主イエスの誕生(画面左上の聖母子)と死を平等とする人間の断罪とする解釈や、そこから老齢となったと同時に最愛の息子を授かったルドン自身の死生的内面性の現われとする解釈など観る者によって様々に捉えることができる。


【全体図】
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美しい光を放つステンドグラス。本作は教会聖堂内の窓等に用いられた、着色ガラス片による模様装飾をモティーフとした木炭とパステルによる絵画作品で、教会内を思わせる薄暗い室内の中、画面中央へ中世ゴシック様式を連想させるステンドグラスが陽光を透過させながら神秘的な輝きを放っている。



【美しい光を放つステンドグラス】
幼子イエスを抱く聖母マリア。画面左側上部へはおそらく幼子イエスであろう赤子を抱いた聖母マリアが描かれているが、その表情はどこか憂いを感じさせる。またこの聖母子と対称的に画面右下へ配される天使はまるで涙を流すような表情を浮かべながら、古来より死や虚無を象徴する髑髏を抱いている。



【幼子イエスを抱く聖母マリア】
髑髏を手にする天使の姿。解釈については宗教的主題に基づく救世主イエスの誕生(画面左上の聖母子)と死を平等とする人間の断罪とする解釈や、そこから老齢となったと同時に最愛の息子を授かったルドン自身の死生的内面性の現われとする解釈など観る者によって様々に捉えることができる。



【髑髏を手にする天使の姿】

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