2008/09/18掲載
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3つのランプのあるサロン、サン=フロランタン通り(Le Salon aux trois Lampes, rue Saint-Florentin) 1899年 59×95cm | 泥絵具・紙(画布貼付) | オルセー美術館(パリ)
室内を穏やかに照らすランプ。本作は画家が所属するナビ派を擁護していた芸術雑誌「ルヴュ・ブランシュ」の主催者で、ヴュイヤールと非常に友好的な関係にあったタデ・ナタンソンと、その妻ミシアが住むサン=フロランタン通り沿いのアパルトマンの一室(サロン)を描いた作品である。
【室内を穏やかに照らすランプ】
椅子に座り読書する妻ミシア。画面左側に妻ミシア、中央に劇作家ロマン・クーリュス、そして右側にタデ・ナタンソンが配されており、各々が読書するなど寛いだ様子で描かれている。特にナタンソン夫妻の傍には黄色の笠が付いたランプが置かれており、穏やかな光源となって室内を柔らかく照らしている。
【椅子に座り読書する妻ミシア】 木製の揺り椅子に座る劇作家ロマン・クーリュス。個としての人物が強調され過ぎず他の構成要素と絶妙な調和を生み出している最も大きな要因となっているのは、対象の形状を曖昧にさせる個性的な筆触と滲み出るような色彩表現である。
【木製の揺り椅子に座るクーリュス】 |