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サビニの女たちの略奪 (Ratto delle Sabine) 1629年頃
275×423cm | 油彩・画布 | カピトリーノ美術館(ローマ) |
ピエトロ・ダ・コルトーナを代表する神話画『サビニの女たちの略奪』。画家の最初のパトロンとなるサッケッティ家の依頼により描かれた本作の主題は、ローマ市建設時、女性が少なかった市の建設者ロムルスの発案により、サビニなど近隣の村人をローマの祭りへ誘い、未婚の女性を略奪したとされる伝説上の逸話≪サビニの女たちの略奪≫を描いたものである。カラヴァッジョによる写実性と、カラッチ一族による古典主義的表現の融合を示す演劇的な運動性と大胆な構図、豊かで鮮やかな色彩などからは、ピエトロ・ダ・コルトーナの画家としての稀有な才能を感じさせる。また略奪される女のポーズは、明らかにベルニーニの代表作『プロセルピナの略奪』の影響を受けていることを感じさせ、二人の親密な関係性をうかがい知ることができる。
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