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洗礼者聖ヨハネの誕生(Nascita del Battista)1631-33年頃
184×258cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) |
父娘の画家として知られるアルテミジア・ジェンティレスキのナポリ時代の代表作『洗礼者聖ヨハネの誕生』。ナポリ総督モンテレイ伯爵から同地の画家マッシモ・スタンツィオーネに依頼された洗礼者聖ヨハネを主題とした連作企画に関する一枚であると推測されている本作に描かれるのは、エルサレム神殿の司祭ザカリアと聖母マリアの従姉妹エリサベトの間に生まれた、旧約聖書における最後の預言者で、神の子イエスに洗礼を施した救世主の先駆者でもある≪洗礼者聖ヨハネ≫の誕生場面で、カラヴァッジョの影響である強い明暗対比を用いながらも、当時のイタリアバロックの流行のひとつであった古典主義的な表現とは異なり、日常風景の一場面を捉え描くような自然主義的表現がなされているのが大きな特徴である。また本作においてアルテミジア・ジェンティレスキは自身の様式である特徴的な女性の凛とした表情を一際顕示しているほか、背景には当時の流行画家コダッツィ風の描写を用いている点、空間内に大気的な要素を取り入れ現実感を如実に示している点など、その表現手法においても当時の画家や後世の研究者から賞賛を受けている。
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