Description of a work (作品の解説)
2008/05/09掲載
Work figure (作品図)
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縫い物をする若い母親

 (Needlework) 1902年
92.3×73.7cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館

印象主義時代に活躍したアメリカ出身の女流画家のひとりメアリー・カサット1900年代を代表する作品のひとつ『縫い物をする若い母親』。本作に描かれるのは縫い物(刺繍)をする(又は子供に縫い物を教える)若い母親と、母に寄り添う子供の姿である。カサットは1880年代以降、『家族』や『沐浴(湯浴み)』など母と子を画題とした作品を数多く制作しているが、本作の愛らしい情景描写や柔らかな陽光の表現は特に優れた出来栄えを示している。画面中央上部では若く美しい母親が窓辺に座り、白い布を用いて縫い物をしている(刺繍を施している)。母親が一心に視線を向け、繊細に動かす両手と手にする(レースを思わせる)白い布は暖かい太陽の柔和な光を浴びて輝きに満ちている。さらに母親が身に着ける縦縞模様の衣服は本作に上品な印象を付与する効果を発揮している。おそらく画家のお気に入りの画題であったマーゴ(又はサラ)をモデルとした母親の傍らに立つ子供(娘)は、母親がおこなう縫い物の作業に飽きてしまったのだろう、母親から注意をそらし、退屈な表情を浮かべながら(本作を)観る者の方へと視線を向けている。しかし母親の傍を離れず小さな身体預ける仕草は母親との緊密な関係性をうかがわせ、実に微笑ましい。この何気ない日常性はカサットの作品に共通する重要な視点であり、観る者を強く惹き付ける。また母親と娘の姿態で構成される(古典的要素の強い)大きな三角形は本作に安定感をもたらしているほか、淡色で仕上げられる全体の色彩にはカサットの日本趣味(版画)への傾倒が感じられる。


【全体図】
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熱心に縫い物をする母親の姿。カサットは1880年代以降、『家族』や『沐浴(湯浴み)』など母と子を画題とした作品を数多く制作しているが、本作の愛らしい情景描写や柔らかな陽光の表現は特に優れた出来栄えを示している。



【熱心に縫い物をする母親の姿】
繊細に表現される母親の手元。画面中央上部では若く美しい母親が窓辺に座り、白い布を用いて縫い物をしている(刺繍を施している)。母親が一心に視線を向け、繊細に動かす両手と手にする(レースを思わせる)白い布は暖かい太陽の柔和な光を浴びて輝きに満ちている。



【繊細に表現される母親の手元】
退屈そうな表情を浮かべる娘の姿。母親がおこなう縫い物の作業に飽きてしまったのだろう、この娘は母親から注意をそらし、退屈な表情を浮かべながら(本作を)観る者の方へと視線を向けているが、母親の傍を離れず小さな身体預ける仕草は母親との緊密な関係性をうかがわせ、実に微笑ましい。



【退屈そうな表情を浮かべる娘の姿】
素早く大胆な筆捌きによる独特の表現。母親と娘の姿態で構成される(古典的要素の強い)大きな三角形は本作に安定感をもたらしているほか、淡色で仕上げられる全体の色彩にはカサットの日本趣味(版画)への傾倒が感じられる。



【素早く大胆な筆捌きによる独特の表現】

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