2008/09/12掲載
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カード遊びをする人たち(Les joueurs de cartes) 1890-1892年頃 134×181.5cm | 油彩・画布 | バーンズ・コレクション 関連:メトロポリタン美術館所蔵 『カード遊びをする人たち』 関連:コートールド・コレクション 『カード遊びをする人たち』 関連:オルセー美術館所蔵 『カード遊びをする人たち』
対称的な姿態で描かれる丸頭の男。本作は現在5点が確認されている連作的作品群≪カード遊びをする人たち≫の中で最初の作品だと考えられており、次いでメトロポリタン美術館所蔵版、コートールド・コレクション版、オルセー美術館所蔵版と個人所蔵版の順に制作されたと考えられている説が有力視されている。
【対称的な姿態で描かれる丸頭の男】
木机の上で配られる色彩豊かなカード。連作群≪カード遊びをする人たち≫の中でも、最も多人数で、かつ最も寸法が大きく複雑な構成によって制作されており、特に重要視されている本作で最も注目すべき点は調和性を強調する各構成要素の対称性と、重厚感に溢れた安定的な画面展開にある。
【木机の上で配られる色彩豊かなカード】
配られたカードに視線を落す帽子の男。画面中央に配される真正面を向いた丸頭の男を中心に、左右へ帽子を被った男が二人配され、引き出しの付いた白い木机の上でカード遊びに興じており、さらに丸頭の男の左後ろには少女が覗き込むような仕草で、画面奥にはカード遊びを傍観すようにパイプを咥え立つ男が描かれている。
【配られたカードに視線を落す帽子の男】
(おそらく父の)手札を覗き込む少女と帽子の男。対称的な姿態をする帽子を被ったカード遊びの男らを始め、真正面を向いた丸頭の男を挟み、パイプを咥えた男と幼い少女の対称的な配置、そして両手でカードを持ちV字に足を開く丸頭の男のほぼ左右対称な姿態そのものなど画面各所で対称的な関係性を見出すことができる。
【手札を覗き込む少女と帽子の男】
カード遊びを傍観するパイプの男。本作の画題や風俗的主題への無思想的な取り組みにはしばしば古典主義時代を代表する画家兄弟ル・ナン三兄弟や18世紀フランスの大画家ジャン・シメオン・シャルダンを始め、過去の各時代を代表する画家らの影響や関係性が指摘されている。
【カード遊びを傍観するパイプの男】 |