Description of a work (作品の解説)
2008/04/23掲載
Work figure (作品図)
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モデルヌ・オランピア(近代のオランピア、新オランピア)


(Une moderne Olympia) 1873-1874年
46×55cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

後期印象派の大画家ポール・セザンヌ初期の代表作『モデルヌ・オランピア(近代のオランピア、新オランピア)』。1874年にノルマンディ地方ル・アヴールの港町にあった写真家ナダールのスタジオで開催された記念すべき第一回印象派展への出品作である本作は、印象派の先駆者エドゥアール・マネの問題作『オランピア』への敬意を示す、そして対抗として同画題で制作された作品である。セザンヌは1869年から1874年までに本画題を2点制作しており、本作は1873年から74年にかけて制作された第2ヴァージョンである。1869-70年頃に制作された最初の作品では、この頃の画家の様式的特徴である重々しい濃密な色彩によって表現されているが、本作ではそれとは正反対に明瞭で軽やかな色彩が溢れている。画面中央ではベッドに横たわり奔放な姿で眠る娼婦オランピアの姿が描かれ、その背後には黒人の従者がベッドに敷かれる白布を取っている。さらにマネが制作した、娼婦の典型的な通り名が作品の名称である『オランピア』ではその存在が暗示されるだけであった男性客の姿を、セザンヌは画面内へおそらく自らの姿を模して明確に描き込んでおり、性の対象としてのイメージ、そして当時の社会の現実性を本作でより直接的(率直)に示している。このことは批評家や保守的な人々の反感を大きく買い、酷評を受ける大きな要因のひとつとなった。しかし『オランピア』の重要な典拠となったルネサンスヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノによる傑作『ウルビーノのヴィーナス』から続く、西洋絵画史における裸婦の表現とその位置付けをさらに推し進めた(進化させた)という点で、本作の持つ意味合いは大きい。色彩表現においても画面左下に配される真紅のテーブルと対角線上に描かれる(画面右上の)花束と濃青紫、そしてテーブルや男性客の座るソファー、左部分に描かれるカーテンの赤い色調と、床や壁の緑色の色彩的対比は特に注目すべき点のひとつであるほか、従者の黒人や黒い衣服を着た男性客とその間に配されるオランピアの白い肌の対比や空間的構成も、本作を考察する上で重要視される要素のひとつである。

関連:1869-70年頃 『モデルヌ・オランピア(近代のオランピア)』
関連:エドゥアール・マネ作 『オランピア』
関連:ティツィアーノ作 『ウルビーノのヴィーナス』


【全体図】
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画面中央で奔放に横たわる娼婦オランピア。1874年に開催された記念すべき第一回印象派展への出品作である本作は、印象派の先駆者エドゥアール・マネの問題作『オランピア』への敬意を示す、そして対抗として同画題で制作された作品である。



【画面中央で奔放に横たわるオランピア】
ベッドに敷かれる白布を取る黒人の従者。1869-70年頃に制作された最初の作品では、この頃のセザンヌの様式的特徴である重々しい濃密な色彩によって表現されているが、本作ではそれとは正反対に明瞭で軽やかな色彩が溢れている。



【寝具に敷かれる白布を取る黒人の従者】
画家自身の姿を模したと思われる男性客。この男性客を明確に描き入れることによって性の対象としてのイメージ、そして当時の社会の現実性を本作でより直接的(率直)に示したが、このことは批評家や保守的な人々の反感を大きく買い、酷評を受ける大きな要因のひとつとなった。



【画家自身の姿を模した男性客】
画面下部に配される一匹の猫。ティツィアーノによる傑作『ウルビーノのヴィーナス』から続く、西洋絵画史における裸婦の表現とその位置付けをさらに推し進めた(進化させた)という点で、本作の持つ意味合いは大きい。



【画面下部に配される一匹の猫】
真紅のテーブルに乗せられる静物。画面左下に配される真紅のテーブルと対角線上に描かれる(画面右上の)花束と濃青紫、そしてテーブルや男性客の座るソファー、左部分に描かれるカーテンの赤い色調と、床や壁の緑色の色彩的対比は特に注目すべき点のひとつである。



【真紅のテーブルに乗せられる静物】

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