2009/08/08掲載
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ピエタ(ドラクロワによる)(Pièta) 1889年73×60.5cm | 油彩・画布 | ファン・ゴッホ美術館
ゴッホ自身の姿を模した受難者イエスの姿。画面中央に配される赤毛の髭を蓄えた土気色の受難者イエスは、紛れも無くゴッホ自身の姿であり、そこに自身の置かれている状況や不安定な精神的状態を重ね合わせているのは明白である。
【画家自身の姿を模した受難者イエス】
我が子イエスを腕の中に抱く聖母マリア。神経発作と精神的病に冒されたゴッホが治療(療養)のためにサン・レミのカトリック精神病院へ入院していた時に制作された本作は、ロマン主義の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワによる≪ピエタ≫を画題とした作品のリトグラフに基づく模写作品である。
【イエスを腕の中に抱く聖母マリア】
画家が生の象徴と捉えていた労働者の手。本作の色彩表現に注目しても、聖母マリアの身に着ける青衣と、受難者イエスや遠景に用いられる黄色(黄褐色)との明確な色彩的対比は、画面を引き立てる上で極めて効果的に働いている。
【生の象徴と捉えていた労働者の手】 |