Description of a work (作品の解説)
2008/04/22掲載
Work figure (作品図)
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バティニョールのアトリエ


(Un atelier aux Batignolles) 1870年
204×273.5cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

19世紀フランスを代表するサロン画家アンリ・ファンタン=ラトゥールの最も著名な代表作のひとつ『バティニョールのアトリエ』。1870年のサロンに出品され、批評家や民衆らから多くの賞賛と支持を得た本作は、画家と親しかった印象派の先駆者エドゥアール・マネを中心に、マネの伝統的なアカデミズムへの挑戦(反アカデミズム)の賛同者を描いた集団肖像画である。画面中央には写真家の(そしてマネの友人でもあった)ザカリーアストリュックをモデルに筆をとるマネが配されている。それを囲むかのようにしてマネへの共感者・賛同者が描かれており、マネの背後には画家のオットー・ショルデラー、その右側には若きルノワール、小説家兼批評家エミール・ゾラ、マネの友人エドモン・メートル、印象派初期の重要な画家フレデリック・バジール(参列者の中で一際背の高い男)、そして画面右端にはクロード・モネの姿を確認することができる。さらに画面左端の赤布が掛けられる机の上にはローマ神話で知恵と諸芸術を司る女神ミネルヴァ(ギリシャ神話のアテナと同一視される)の像と、日本や中国の美術様式に強い影響を受けていた同時代の陶芸家ブヴィエ(※ブヴィエは画家と懇意で、幾つかの作品を所有していた)による七宝の壷が描かれており、登場人物らの思想や受けていた美術的影響、この頃の美術界における彼らの方向性を暗示している。本作の名称『バティニョールのアトリエ』は、(本作の主要人物である)マネが当時パリ北西部のバティニョール地区にアトリエを構えていたことに由来しているほか、どの人物とも交わらない彼らの視線には、各人における固有の美術的個性(性格)を表現したとする説など様々な説が唱えられているものの、確証を得るには至っていない。また表現手法としても画家の古典に倣う正確な写実的描写による人物の内面的な表現や、落ち着いた洗練性の高い色彩は画家の様式的特徴を良く表している(ただし本作の赤布、青色の椅子、額縁や画架の黄色の色彩的対比や壁と床の対比には一部から批判的な意見も受けている)。


【全体図】
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画面中央で絵筆をとる印象派の先駆者エドゥアール・マネ。1870年のサロンに出品され、批評家や民衆らから多くの賞賛と支持を得た本作は、画家と親しかった印象派の先駆者エドゥアール・マネを中心に、マネの伝統的なアカデミズムへの挑戦(反アカデミズム)へ賛同者を描いた集団肖像画である。



【中央で絵筆をとるエドゥアール・マネ
マネの描く絵画を見つめる若きルノワールマネの背後には画家のオットー・ショルデラー、その右側には若きルノワール、小説家兼批評家エミール・ゾラ、マネの友人エドモン・メートル、印象派初期の重要な画家フレデリック・バジール、そして画面右端にはクロード・モネの姿を確認することができる。



マネの描く絵画を見つめるルノワール
画面右側に配されるフレデリック・バジールクロード・モネの姿。画家の古典に倣う正確な写実的描写による人物の内面的な表現や、落ち着いた洗練性の高い色彩は画家の様式的特徴を良く表している。

赤布が掛けられる机の上に置かれる女神ミネルヴァの像。女神ミネルヴァの像と、日本や中国の美術様式に強い影響を受けていた同時代の陶芸家ブヴィエによる七宝の壷が描かれており、登場人物らの思想や受けていた美術的影響、この頃の美術界における彼らの方向性を暗示している。



【机の上に置かれるミネルヴァの像】

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