Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像
■ 

ギュスターヴ・ロワゾー Gustave Loiseau
1865-1935 | フランス | 後期印象派・ポン・タヴェン派




後期印象派を代表する画家のひとり。柔和で輝きを帯びたな陽光や、湿度を感じさせる独特の大気感、流水などを筆触分割(色彩分割)的な描画手法で表現。総合主義的な要素を残しつつ、風景の中の詩情性や印象を捉えた、印象派の巨匠クロード・モネカミーユ・ピサロの影響を随所に感じさせる画家の作風は、後期印象派の画家の中でも印象主義の正統な後継のひとりと見なされている。画家はポン=タヴェンやパリのほか、ポントワーズやネスル=ラ=ヴァレ、サン=トゥアン・ロモーヌ、ディエップなど田舎的風景を主な画題としている。1865年、商人の息子としてパリで生まれ、同地の装飾美術学校に通った後、1888年から国立美術学校に入学し絵画を学ぶ。1890年、画家仲間マキシム・エミリー・ルイ・モーフラの誘いを受けポン=タヴェンへ移住し、同地でアンリ・モレを始め、総合主義の創始者のひとりで指導者的立場にあったポール・ゴーギャンや、ゴーギャン同様総合主義の創始者のひとりでフランス象徴主義を代表する画家エミール・ベルナールらと知り合い、指導を受けながら大きく影響を受ける。その後、新印象派展などへ絵画を出品し、注目を集める。1901年、デュラン=リュエルの画廊で大規模な個展を開催、好評を得る。その後、フランス国内を旅行しながら制作活動をおこない、晩年期の1927年にはセーヌ川沿いクアイ・ダンジューに住居を構える。1935年、生地であるパリで死去。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
■ 

エプト湖畔の朝靄

 (Brume de matin l'Epte) 1900年代
80×64cm | 油彩・画布 | 個人所蔵(フランス)

後期印象派の中でも、印象主義を最も正統に受け継いだ画家のひとりギュスターヴ・ロワゾーの抒情性に溢れた代表作『エプト湖畔の朝靄』。本作はパリ近郊にあるセーヌ川支流エプト川に通じる≪エプト湖≫の辺の風景を描いた作品である。やや縦長の画面の左右には背の高い木々は配され、中央には一本の道が通っている。その様子はまだ朝の靄(もや)に包まれ陽光を遮っており、全体が霞んでいる。やや荒々しく大きめの筆触による風景処理は印象派の巨匠クロード・モネ晩年期の様式的特徴と類似するものの、画面奥へと向かうに従い、薄っすらと光が満ちてくる独特の表現や、深く影が落ちる画面最前景の木々と中・遠景の木々の光度的対比、静謐な雰囲気が支配する画面全体から醸し出される物語的な詩情性や幻想性、モノトーン的かつ抑制的な色調ながら多様な光と色味を感じさせる色彩表現、湿度を感じさせる独特の大気表現、生物的な印象すら感じさせる中景の木々の描写にはギュスターヴ・ロワゾーの優れた個性と画才を見出すことができる。特に本作の朝靄の繊細な大気感や、幻想的な光の表現は画家の他の作品と比較しても白眉の出来栄えであり、観る者を強く魅了する。

解説の続きはこちら

【全体図】
拡大表示

Work figure (作品図)


Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション