Description of a work (作品の解説)
2007/05/04掲載
Work figure (作品図)
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アプサントを飲む男

 (Le buveur d'absinthe) 1858-1859年
181×106cm | 油彩・画布 | ニイ・カールスベルグ美術館

印象派の巨匠エドゥアール・マネ初期の代表作『アプサントを飲む男』。コペンハーゲンのニュー・カールスベア美術館に所蔵される本作に描かれるのは、ニガヨモギの根から抽出する≪アプサント≫と呼ばれた安価で毒性の強い緑色の蒸留酒の水割りを飲む路上生活者である。この路上生活者はルーヴル近辺では比較的名が通っていた屑拾いで、画家の近所に居たコラルデという男をモデルにして描かれており、本作では1900年代初頭には禁止されることになる≪アプサント≫と共に、社会的、文学的な主題への関心を示した、最も初期の自然主義的作品としても重要視されており、この自然主義的な描写は、画家が学んでいたトマ・クテュールとの決別を意味するほか、本作はサロン出品時に批判の対象となった最初の作品でもある。スペイン絵画の大画家ディエゴ・ベラスエスに倣う簡素な画面による肖像展開が大きな特徴である本作の画題≪アプサントを飲む男≫はフランス近代詩の父シャルル・ボードレールに想を得ていたと考えられ、マネ自身もボードレール宛に本作を認めることを求める嘆願の手紙を送っているほか、小説家エミール・ゾラの著書との関連性も指摘されている。この頃、パリではアプサントを始めとする度の強い酒による重篤なアルコール依存症が社会問題化しており、本作においても画面中央左部分に描かれるアプサントのほか、地面に転がる酒瓶、男の纏う(洗練された紳士的服装の風刺・揶揄である)古着の黒衣などにマネの社会性や文学性を帯びた絵画的挑戦を強く感じさせる。なお本作は大多数の批評家が拒絶・拒否したものの、サロン審査に参加していたロマン主義の画家ドラクロワは擁護していたことが知られている。


【全体図】
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簡素な画面に立つ路上生活者。コペンハーゲンのニュー・カールスベア美術館に所蔵される本作に描かれるのは、ニガヨモギの根から抽出する≪アプサント≫と呼ばれた安価で毒性の強い緑色の蒸留酒の水割りを飲む路上生活者で、この路上生活者はルーヴル近辺では比較的名が通っていた屑拾いで、画家の近所に居たコラルデという男をモデルにして描かれている。



【簡素な画面に立つ路上生活者】
安価で毒性の強い緑色の蒸留酒の水割り≪アプサント≫。本作は、社会的、文学的な主題への関心を示した、最も初期の自然主義的作品としても重要視されており、この自然主義的な描写は、師トマ・クテュールとの決別を意味するほか、サロン出品時に批判の対象となった最初の作品でもある。



【緑色の蒸留酒の水割り≪アプサント≫】
当時、社会問題化していたアルコール依存。パリではアプサントを始めとする度の強い酒による重篤なアルコール依存症が社会問題化しており、本作においても画面中央左部分に描かれるアプサントのほか、地面に転がる酒瓶、男の纏う(洗練された紳士的服装の風刺・揶揄である)古着の黒衣などにマネの社会性や文学性を帯びた絵画的挑戦を強く感じさせる。



【社会問題化していたアルコール依存】

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