Description of a work (作品の解説)
2007/12/30掲載
Work figure (作品図)
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草上の昼食(習作)

(Le Déjeuner sur l'herbe) 1865年
130×181cm | 油彩・画布 | プーシキン美術館(モスクワ)

印象派の巨匠クロード・モネ初期の代表作『草上の昼食』。モネが手がけた『草上の昼食』は、印象派の先駆的存在エドゥアール・マネが1863年のサロンへ出品し、大きな論争と批判を巻き起こした問題作『草上の昼食』に強い刺激を受けた若き画家が、マネの『草上の昼食』で表現される≪歴史(古典)ではなく、現在を描く≫という現代性を、よりモニュメンタルにし、戸外の風景の中に人物像を描くことで、さらに一歩進んだ現代性を示そうとの試みから取り組まれた作品であり、本作はその習作(油彩スケッチ)である。さらに画家は『草上の昼食』を1865年のサロンへ出品しようと考え、300×600cmと非常に大きなサイズで制作したものの完成が間に合わなかったほか、写実主義の大画家であるギュスターヴ・クールベから批判を受けたこともあり、応募を止めたとされている(参照:サロン出品用『草上の昼食』)。なおサロン出品用『草上の昼食』は当初マネの手元にあったが、家賃代として当時住んでいた借家の大家に取られ、数年後、モネの元へ再び戻ってきた(取り戻した)時には画面の損傷が著しく、現在残される左側部分と中央部分以外は切り捨てられた。この『草上の昼食』では、後(1869年)に『ラ・グルヌイエール』で完成・誕生することになる印象主義的描写の先駆的表現が示されており、画家の表現様式形成の過程においても非常に重要な作品として位置付けられている。本作(この習作)からは戸外で民衆(市民)らが昼食を楽しむ情景≪現代性≫がありありと伝わってくるだけでなく、モネが前世紀(18世紀)の作品からのロココ的な雅宴性や構図的借用も見出すことができる。

関連:エドゥアール・マネ作 『草上の昼食』
関連:サロン出品用『草上の昼食(左・中央断片)』


【全体図】
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戸外で昼食を楽しむ民衆(市民)ら。モネが手がけた『草上の昼食』は、マネの『草上の昼食』で表現される≪歴史(古典)ではなく、現在を描く≫という現代性を、よりモニュメンタルにし、戸外の風景の中に人物像を描くことで、さらに一歩進んだ現代性を示そうとの試みから取り組まれた作品である。



【戸外で昼食を楽しむ民衆(市民)】
印象主義的描写の先駆的表現。この『草上の昼食』では、後に『ラ・グルヌイエール』で完成・誕生することになる印象主義的描写の先駆的表現が示されており、画家の表現様式形成の過程においても非常に重要な作品として位置付けられている。



【印象主義的描写の先駆的表現】

柔らかい光による戸外の木漏れ日の描写。画家は『草上の昼食』を1865年のサロンへ出品しようと考え、300×600cmと非常に大きなサイズで制作したものの完成が間に合わなかったほか、写実主義の大画家であるギュスターヴ・クールベから批判を受けたこともあり、応募を止めたとされている。



【柔らかい光による木漏れ日の描写】

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