Description of a work (作品の解説)
2008/06/16掲載
Work figure (作品図)
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アルジェのアラブの祭日(モスク)


(Fête arabe à Alger (La casabah)) 1881年
73.5×92cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールを代表する風景画作品のひとつ『アルジェのアラブの祭日(モスク)』。本作は画家が1881年に旅行したアルジェリア滞在時に同地で制作した数点の作品の中の一枚で、やや高位置の視点からアラブ(アラビア)の祭りの様子を描いた作品である。本作はルノワールが多大に影響を受けていたロマン主義の大画家ウジェーヌ・ドラクロワへの敬意や献辞を示した作品であるものの、画家自身はフランス美術界がドラクロワを称賛するようになって以来、信望者の画家たちが大挙として訪れていたアルジェの雰囲気に多少、辟易していたようである。しかし、それでも本作の燃えるように強烈な陽光の描写やアルジェ独特の風土感、喧騒とした祭事の表現はルノワールの画家としての偉大さが良く表れている。画面の大半はアルジェの特徴的な赤土の上で行われるアラブの祭りに参加する群衆が描かれており、ひとり一人はルノワールの他の作品の基準からすると例外的に小さく描かれている(人々の点描的な表現手法も注目すべき点のひとつである)。しかし渦巻くような群衆全体をひとつの塊として捉えた時には、アラブの強い光によって輝きを帯びた群衆は生命力と活気に溢れている。画面左上部分に描かれる遠景には白壁が非常に美しいイスラム教の寺院が配されており、さらに遠景の澄んだ海の青色と隣り合うことで得られる清涼感は観る者の心象に強く浸透する。またこの寒色が用いられる遠景部分の色彩と、画面の大半を支配する赤茶けた黄土色の色彩的対比は、ルノワールの明瞭で多様な色彩表現の特徴がよく表れている。


【全体図】
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アラブの祭りに参加する群衆。本作は画家が1881年に旅行したアルジェリア滞在時に同地で制作した数点の作品の中の一枚で、やや高位置の視点からアラブ(アラビア)の祭りの様子を描いた作品である。



【アラブの祭りに参加する群衆】
生命力と活気に溢れる人々の塊。本作の燃えるように強烈な陽光の描写やアルジェ独特の風土感、喧騒とした祭事の表現はルノワールの画家としての偉大さが良く表れており、特に渦巻くような群衆全体をひとつの塊として捉えた時の表現は見事である。



【生命力と活気に溢れる人々の塊】
清涼感に溢れたイスラムの寺院と海の色彩。画面左上部分に描かれる遠景には白壁が非常に美しいイスラム教の寺院が配されており、さらに遠景の澄んだ海の青色と隣り合うことで得られる清涼感は観る者の心象に強く浸透する。



【清涼感に溢れた寺院と海の色彩】

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