Description of a work (作品の解説)
2007/02/27掲載
Work figure (作品図)
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ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場


(Bal du Moulin de la Galette) 1876年
131×175cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派最大の巨匠の一人ピエール=オーギュスト・ルノワールが手がけた、最も世に知られる印象主義時代の傑作のひとつ『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』。1877年に開かれた第3回印象派展に出品された本作に描かれるのは、当時、パリのモンマルトルの丘上の庶民的なカフェで、かつて粉挽き小屋であった≪ムーラン・ド・ラ・ギャレット≫とそこで過ごす人々で、木々の間から射し込み移ろう斑点状の木漏れ日の表現や、喧騒なカフェで愉快に踊り会話する人々の描写は秀逸の出来栄えである。画面手前の人物らはアトリエで姿態を執らせ、画面奥の群集は実際にダンスホールでデッサンした人物らが配置されている本作には、画家が気に入っていたモデルのマルゴを始めとし、ノルベール・グヌット、フランク=ラミー、リヴィエールなどルノワールの友人や知人たちが多数描かれている。本作の光の効果的な表現や曖昧な輪郭、複雑な空間構成など画家の優れた印象主義的な技法は賞賛に値するが、その他にも退廃的でメランコリックであった当時のカフェ本来の姿とは異なる陽気な本作の雰囲気に、幸福な社会や治世を望んだルノワールの世界観や趣向なども示されているとの解釈もされている。なおルノワールと同じく印象派を代表する画家で友人だったカイユボットが購入し、ルノワールの死後にオルセー美術館へと寄贈された本作を制作するために、画家の友人たちが都度、コルトー街の画家のアトリエからムーラン・ド・ラ・ギャレットまで運ぶのを手伝ったとの話が残されているほか、本作より一回り小さい別ヴァージョン(78.7×113cm)が存在し、フィンセント・ファン・ゴッホの『ポール・ガシェ医師の肖像(ガッシェ博士の肖像)』と同様、大昭和製紙(2003年に日本製紙と合併)の名誉会長であった斉藤了英氏が1990年5月に開催されたオークションで別ヴァージョンを109億円で落札したものの、1997年に米国の収集家へ売却されている。

関連:別ヴァージョン 『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』


【全体図】
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ムーラン・ド・ラ・ギャレットで愉快に会話する女性。この女性の後ろの帽子の女は当時の若き女優ジャンヌをモデルに描かれている。1877年に開かれた第三回印象派展に出典された本作に描かれるのは、当時パリのモンマルトルの丘の上にあった庶民的なカフェ≪ムーラン・ド・ラ・ギャレット≫と、そこで過ごす人々である。



【愉快に会話する女】
木々の間から射し込む木漏れ日。木々の間から射し込み移ろう斑点状の木漏れ日の表現や、喧騒なカフェで愉快に踊り会話する人々の描写は秀逸の出来栄えで、光の効果的な表現や曖昧な輪郭、複雑な空間構成など画家の優れた印象主義的な技法は賞賛に値する。



【木々の間から射し込む木漏れ日】
ダンスホールで踊る男女。手前の人物らはアトリエで姿態を執らせ、奥の群集は実際にダンスホールでデッサンした人物らが配置されている本作には、ルノワールが気に入っていたモデルのマルゴや、画家の友人・知人らが多数描かれている。



【ダンスホールで踊る男女】
ムーラン・ド・ラ・ギャレットに集う人々。退廃的でメランコリックであった当時のカフェ本来の姿とは異なる陽気な本作の雰囲気に、幸福な社会や治世を望んだルノワールの世界観や趣向なども示されているとの解釈もされている。なおこの頃、ルノワールが託児所建設の為にムーラン・ド・ラ・ギャレットを貸切、慈善活動をおこなっていたことが知られている。



【ムーラン・ド・ラ・ギャレットに集う人々】

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