Description of a work (作品の解説)
2007/03/01掲載
Work figure (作品図)
■ 

紅白梅図屏風

 (Red and White Plum Blossoms)
18世紀(江戸時代) | 各156.0cm×172.2cm | MOA美術館
2曲1双・紙本金地着色、又は金泥着色

琳派の中でも最も名の知れた絵師のひとり尾形光琳が晩年に手がけた代表作、国宝『紅白梅図屏風』。琳派芸術の最高傑作ともされる本屏風に描かれるのは、紅白の梅の花が咲くニ本の梅樹と、画面上部から下部へと末広がりに流れる水流で、光琳が俵屋宗達の様式に傾倒していたことが知られているが、本作も宗達の『風神雷神図屏風』の対照性を強く意識されていると考えられている(※光琳は自らも『風神雷神図屏風』の模作(参照)を残している)。2003年にMOA美術館が依頼し東京文化財研究所がおこなった『紅白梅図屏風』の研究・調査によって、本作の大部分を占める金地部分は、本来の説であった金箔を貼ったものではなく、金泥を用いて金箔を模し、箔足(金箔が重なり合う部分)を加え描いたものであると結論付けられたことは研究者や絵師らに大きな衝撃を与えた(ただ、この説は現在も異論・否定論も多く、今後の更なる調査・研究が期待されている)。本作に描かれる、光琳梅と呼ばれ後に流行した、輪郭と花弁のみで構成される非常に単純化された梅花の表現や、梅の樹幹の写実的な表現手法として用いられた≪たらし込み≫技法は、まさに装飾性の高い光琳の琳派芸術のひとつの到達点として、高貴で荘厳な美しさを携えている。また光琳波と呼ばれるS字に屈曲し、渦巻模様に図案化された独特の水流部分は、銀箔が用いられている考えられていたが、2003年の調査によって型紙を使用し(おそらく黒藍色の)有機色料で描かれたと結論付けられたことも特筆すべき点のひとつである。なお、本作の解釈について、金地の明と水流の暗、老熟した白梅の樹の静と若々しい紅梅の樹の動、写実性を感じさせる梅の樹幹部分と図案化された水流部分など多くの対照性が認められることから、光琳と実弟・乾山と解釈する説や、光琳と中村内蔵助(光琳の後援者)と解釈する説など様々な説が唱えられている。

関連:俵屋宗達筆 『風神雷神図屏風』


【全体図】
拡大表示
真っ直ぐ天へと伸びる若々しい紅梅の樹。2003年にMOA美術館が依頼し東京文化財研究所がおこなった『紅白梅図屏風』の研究・調査によって、本作の大部分を占める金地部分は、金泥を用いて金箔を模し、箔足を加え描いたものであると結論付けられたことは研究者や絵師らに大きな衝撃を与えた。



【天へと伸びる若々しい紅梅の樹】
光琳梅と呼ばれ後に流行した、輪郭と花弁のみで構成される非常に単純化された梅花の表現。老熟した白梅の樹の静と若々しい紅梅の樹の対照性は、俵屋宗達の『風神雷神図屏風』の対照性が強く意識されていると考えられている。



【輪郭と花弁のみで構成された光琳梅】
高い写実性を感じさせる≪たらし込み≫を用いた梅の樹幹部分の表現。この樹幹部分や梅花の表現は、まさに装飾性の高い光琳の琳派芸術のひとつの到達点として、高貴で荘厳な美しさを携えており、故に琳派芸術の最高傑作ともされている。



【≪たらし込み≫を用いた梅の樹幹部分】
光琳波と呼ばれるS字に屈曲し、渦巻模様に図案化された独特の水流部分。この水流部分は銀箔が用いられている考えられていたが、2003年の調査によって型紙を使用し(おそらく黒藍色の)有機色料で描かれたと結論付けられたことも特筆すべき点のひとつである。



【渦巻模様に図案化された水流部分】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ