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民衆の聖母 (Madonna del popolo) 1574-79年頃
359×252cm | 油彩・画布 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ) |
マニエリスム様式とバロック様式を繋ぐ架け橋的存在の画家フェデリコ・バロッチの代表作『民衆の聖母』。当初、アレッツォのミゼリコルディア同信会が同会の祭壇画としてジョルジョ・ヴァザーリに依頼していたものの、ヴァザーリが死去したために新たにフェデリコ・バロッチへ依頼し直し制作された本作に描かれるのは、天上から降臨し民衆を祝福する主イエスや天使らを描いた作品で、フェデリコ・バロッチ特有の甘く官能性に富んだ人物表現と複雑な構図展開による大胆でダイナミックな場面構成が見事に示されている。本作でフェデリコ・バロッチは明らかにコレッジョの甘美性や官能性、構図展開の影響を受けていることを感じさせ、それは画面上部で観者に視線を向ける悪戯な表情を浮かべる天使の愛らしい表情や、画面下部で短縮法や激しい運動性を備え入り乱れる群集展開などに顕著に示される。
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