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Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像

フェデリコ・バロッチ Federico Barocci
1535-1612 | イタリア | マニエリスム

16世紀イタリアで活躍したマニエリスム様式とバロック様式の架け橋的存在の画家。ヴェネツィア派から学んだ豊かで明瞭な色彩とコレッジョの影響を強く感じさせる官能性に富んだ表現手法は当時のイタリア画家たちにおいて極めて独自的な位置を占める。ウルビーノに生まれ、最初期には同郷の画家である巨匠ラファエロの作品に感化されるも、大画家ティツィアーノを始めとしたヴェネツィア派から暖かな色彩をエミリア派の巨匠コレッジョからスフマート(ぼかし技法)を用いる官能性に富んだ甘美な人物表現や大胆でダイナミックな構図展開を取り入れ独自の様式を形成。一時はローマに滞在するも成功には至らず、故郷ウルビーノで同地を支配していたデラ・ロヴェーレ家の庇護の下に活動をおこなう。フェデリコ・バロッチの様式は典型的なマニエリスム様式とは決定的に一線を画しており、特に晩年期の深い精神性と瞑想性に溢れた作品はバロック様式の先駆的存在として位置付けられている。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
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エジプトへの逃避途上の休息
(Riposo nella fuga in Egitto) 1570-73年頃
133×110cm | 油彩・画布 | ヴァティカン宮美術館 絵画館

16世紀に活躍したイタリアの画家フェデリコ・バロッチの代表的な作品のひとつ『エジプトへの逃避途上の休息』。本作は画家の友人シモネット・アナスタージに贈る為に描かれた作品で、19世紀に行方不明となっているウルビーノ公グイドバルド・デラ・ローヴェレの為に制作された原作を基に制作された。本作の主題はユダヤの王ヘロデが神の子イエスの降誕を知り、ベツレヘムに生まれる新生児の全てを殺害するために放った兵士から逃れるため、エジプトへと逃避した聖母マリアと幼子イエス、マリアの夫の聖ヨセフを描いた≪エジプトへの逃避途上の休息≫で、バロッチが強く影響を受けたエミリア派の巨匠コレッジョの傑作『スープ皿の聖母』に直接的な着想を得ていると考えられている。本作の官能性に富んだ甘美な表現や大胆でダイナミックな構図展開、ヴェネツィア派から学んだ豊かで明瞭な色彩描写はフェデリコ・バロッチ様式の典型的な特徴であり、本作はそれらを最も明確に示す作例のひとつとして広く知られている。なお本作はペルージアのイエズス会聖堂からローマのクイリナーレ宮を経てヴァティカン宮美術館に所蔵されることになったほか、サント・ステファノ聖堂(ピオッピコ)に同主題の模写が確認されている。

関連:コレッジョ作『スープ皿の聖母』

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民衆の聖母 (Madonna del popolo) 1574-79年頃
359×252cm | 油彩・画布 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

マニエリスム様式とバロック様式を繋ぐ架け橋的存在の画家フェデリコ・バロッチの代表作『民衆の聖母』。当初、アレッツォのミゼリコルディア同信会が同会の祭壇画としてジョルジョ・ヴァザーリに依頼していたものの、ヴァザーリが死去したために新たにフェデリコ・バロッチへ依頼し直し制作された本作に描かれるのは、天上から降臨し民衆を祝福する主イエスや天使らを描いた作品で、フェデリコ・バロッチ特有の甘く官能性に富んだ人物表現と複雑な構図展開による大胆でダイナミックな場面構成が見事に示されている。本作でフェデリコ・バロッチは明らかにコレッジョの甘美性や官能性、構図展開の影響を受けていることを感じさせ、それは画面上部で観者に視線を向ける悪戯な表情を浮かべる天使の愛らしい表情や、画面下部で短縮法や激しい運動性を備え入り乱れる群集展開などに顕著に示される。

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キリストの割礼 (Criconcisione di Cristo) 1590年
374×252cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

16世紀イタリアの画家フェデリコ・バロッチの代表作『キリストの割礼』。ペザーロのイエス御名同信会の依頼によって制作され、同会の廃止に伴いフランスへと接収された本作に描かれる主題は、天使のお告げによりイエス降誕の八日目に包皮を切除した後、地上に降誕した神の子に御名『イエス』を名付けるという、キリスト教の儀式≪キリストの割礼≫で、フェデリコ・バロッチ独特の様式であるヴェネツィア派からの影響である豊かで明瞭な色彩と、官能性に富んだ甘美な人物表現が顕著に示されるほか、中間色を多用した明暗法による場面表現と、当時の理想主義的描写からは異なる、画面左下の生贄を捧げる羊飼いが示す自然主義的描写が大きな特徴である。また本作においてバロッチが用いた室内の空間構成は画面内のみならず、観者との距離感が意識され、絶妙なバランスを保つことに成功している。

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受胎告知 (Annunciazione) 1592-1596年頃
不明 | 油彩・画布 | サンタ・マリア・デリ・アンジェリコ聖堂

マニエリスム様式からバロック様式への転換期において最も重要な画家のひとりフェデリコ・バロッチの傑作『受胎告知』。ペルージアのサンタ・マリア・デリ・アンジェリコ聖堂コリ・ポンタニ礼拝堂の祭壇画として現在も掲げられている本作には、神の子イエスを宿す聖なる器として父なる神より選定され、聖胎したことを告げる大天使ガブリエルと、それを静粛に受ける聖母マリアの厳粛な場面で、キリスト教美術における最も一般的な主題のひとつ≪受胎告知≫が描かれている。マニエリスム的な難解な図像展開が当時既に廃れつつあったため、本作では最先端的な表現手法として再度注目され始めていた単純で明確な図像展開が用いられており、そこにフェデリコ・バロッチ特有の豊かで明瞭な色彩と、穏やかで甘美性に満ちた描写によって場面や人物を表現することで、心地のよい温和な印象を観者に与えている。また画面上部には父なる神、三位のひとつである聖霊、天使らが均等に配され作品に安定感をもたらしているほか、画面中央の窓から覗く風景にはウルビーノのパラツゥオ・ドゥカーレが、画面左下端には貞淑を示す眠りにつく猫が配されるなど、各所に一枚の絵画作品として洗練された質の高さが存分に味わえる画家の良作として、人々に広く親しまれている。

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アイネイアスの逃亡 (La fuga de Enca) 1598年
179×253cm | 油彩・画布 | ボルゲーゼ美術館(ローマ)

16世紀の様式転換期に活躍した最も重要な画家のひとりフェデリコ・バロッチ作『アイネイアスの逃亡』。ジュリアーノ・デラ・ローヴェレ枢機卿の為に制作された本作に描かれる主題は、≪アイネイアスの逃亡≫で、現存する画家唯一の肖像画・宗教画以外の作品として知られており、現在は喪失している画家がルドルフ二世の依頼によって制作した『アイネイアスの逃亡』のヴァリアント作品であると推測されている。アイネイアスはギリシア神話や古代ローマの代表的詩人ウェルギリウスの叙事詩≪アイネイアス≫などに登場するトロイ戦争(トロイア戦争)時のトロイア方の英雄で、本作は、美の女神ヴィーナスとトロイア王族の一人アンキセスとの間に生まれた勇士アイネイアスが、有名な≪トロイの木馬≫作戦によって故郷トロイアが陥落した際、父アンキセスを背負い、妻クレウサや幼い息子アスカニウスと共に業火に包まれる故郷を脱出する場面を描いたものである。本作ではフェデリコ・バロッチ独特の甘美で優雅な人物像(特に女性像)の表現に重点を置いているというよりも、全体的に作為性(ある種のわざとらしさ)を感じさせる(画家としては特殊な)表現や、より演劇性が増した場面描写、やや人工的な光彩表現に、本主題と共通する、フェデリコ・バロッチ作品にはあまり見られない特殊性が示されているのが最も大きな特徴である。このような画家の実験的要素を強く感じさせる点においても、本作は画家の様式を研究するにあたって重要視される作品のひとつでもある。

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キリストの磔刑 (Crocifissione) 1604年頃
374×246cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

16世紀後半から17世紀初頭まで活躍したイタリアの画家フェデリコ・バロッチ晩年期の代表作『キリストの磔刑』。ウルビーノ大公の最後の依頼により制作され、完成後、大公からスペイン国王フェリペ4世へと渡り、同国のアルカサール宮礼拝堂(マドリッド)の祭壇画として用いられた本作に描かれるのは、自らユダヤの王と名乗り民を惑わしたという罪状で受難者イエスがユダヤの司祭から告発を受け、罪を裁く権限を持つ総督ピラトが手を洗い、自身に関わりが無いことを示した為、ユダヤの司祭らの告発どおりゴルゴダの丘で2人の盗人と共に磔刑に処された教義上最も重要視される場面のひとつ≪キリストの磔刑≫で、無知なる民の罪を背負い磔刑に処される受難者イエスの姿は、画家の作品の典型的な特徴とは異なるグレイッシュな場面描写の中で深い精神性を携えながらも、父なる神と対話するかのような表情にフェデリコ・バロッチ特有の甘美的表現が示されている。また本作の風景には依頼主であるウルビーノ大公が統治するウルビーノの町と宮殿(パラツィオ・ドゥカーレ)が描かれていることがわかるほか、本作にはマニエリスム的な様式ともバロック的様式とも異なる、幻想性に富んだ独自の展開が明確に見られるなど、信仰を重んじた晩年期の画家における精神的な影響の形跡が各所に示されている。

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