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ダナエ(ユピテルの愛の物語) (Danae (Amori di Giove))
1531年頃 | 161×193cm | 油彩・画布 | ボルゲーゼ美術館 |
コレッジョの最高傑作と名高い神話画連作≪ユピテルの愛の物語≫の中のひとつ『ダナエ』。皇帝カール5世がボローニャでの戴冠式に献上するために、マントヴァ公フェデリーコ・ゴンザーカがコレッジョに依頼した連作のひとつである本作は、ギリシア神話の登場人物で、アルゴス王アクリシオスの娘ダナエと、ダナエに恋をし、黄金の雨に姿を変え女王の下へ降り立ったユピテルを描いた≪オウィディウス『転生神話』≫を典拠とし、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノも、このダナエを題材に描いている。このコレッジョの作品はこれまでに培ってきた表現の高い融合を示し、画面の中で優雅な動きを見せる登場人物と、豪華な装飾、華麗で美しさが際立つ風景などが、完全な調和を見せる。流麗で官能的なダナエの姿であるが、決して下俗な表現ではなく、むしろ純粋的であり至上の美を感じさせる。またダナエの足下には有翼と無翼の小キューピッド達が矢を手に何かを書く仕草を見せるが、これは聖愛と俗愛を示すとされる(関連:ティツィアーノ作 聖愛と俗愛)。また本場面後、ユピテルはダナエと交わりによって、メドゥーサを退治し、その首を手にして帰る途中エチオピアに来て、海の怪物に人身御供にされていたアンドロメダを救って妻としたギリシャ神話の英雄ペルセウスを生んだ。
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