■ |
凸面鏡の自画像 (Autoritratto allo specchio)
1523-24年
直径24.4cm | Oil on panel | ウィーン美術史美術館 |
ルネサンスより描かれ始めた自画像作品の歴史の中でも、特に白眉の部類に属し、当時より圧倒的な評価を受けているパルミジャニーノの代表作『凸面鏡の自画像』。現代ではガラス板の裏面に銀メッキ処理をおこなう平面鏡が一般的であるが、当時は平面鏡を製造する技術が確立されておらず、鏡といえば凸面鏡が一般的であり、本作は画家が21歳の頃、床屋の鏡台を覗き込んだ際に着想を得たと記録には残っている。凸面鏡に写の画家自身や、拡大し歪曲した手を始めとする周辺部分の表現は、まさに見事の一言である。自己を見つめるパルミジャニーノの表情。21歳とは思えぬほど若々しく端正な顔立ちであったパルミジャニーノだが、錬金術に傾倒した頃に描かれた自画像では、その面影はなく、酷く老廃した姿をしている(関連:1540年に描かれた自画像)。
|