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聖母子と聖ザカリヤ、マグダラのマリア、幼児聖ヨハネ
(Madonna col Bambino, san Zaccaria, la Maddalena e san Giovannino)
1530年頃 | 73×60cm | 油彩・板 | ウフィツィ美術館 |
ウフィツィ美術館が所蔵する、パルミジャニーノの代表作のひとつ『聖母子と聖ザカリヤ、マグダラのマリア、幼児聖ヨハネ』。主題は聖母マリアと幼子イエスの聖母子を中心に、諸聖人を配する≪聖会話≫であるが、祭壇画の典型とは言いがたいマニエリスム独特の雰囲気と、能動的な人物の動作が際立つ、パルミジャニーノ作風がよく現れている。特に画面最前面へ配される聖ザカリヤの存在感と、戯れる幼子イエスと、幼い洗礼者聖ヨハネの表現は、画家の全作品の中でも特に優れたものとして、批評家や研究者たちの意見は一致している。また本作は、その完成度の高さから、幾多の画家によって多数の模写が描かれた。パルミジャニーノの作風らしく、聖母マリアはあくまでも流麗かつ繊細に描かれ、その表現は、聖性を示すというより、人間の理想美を示している。また能動的に動作の洗礼者聖ヨハネと受動的な幼子イエスとの姿は、後の二人の関係性を示していると考えられる。画面左端に配される娼婦であったマグダラのマリアが、成長したキリストの前でその罪を悔い、その御足に香油を塗ったとされることから、香油はマグダラのマリアを描く際の持ち物として、広く描かれるモティーフとなった。
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