Description of a work (作品の解説)
2009/10/02掲載
Work figure (作品図)
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ホラティウス兄弟の誓い


(Serment des Horaces) 1784年
330×425cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

新古典主義の偉大なる巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッドによる同主義の宣言的傑作『ホラティウス兄弟の誓い』。画家が1783年から翌1784年までの間、自身二度目の滞在となったローマで制作された本作は、古代ローマの歴史家ティトゥス・リウィウスによる著書≪ローマ建国史≫中に記されるほか、17世紀を代表するフランスの劇作家ピエール・コルネイユが悲劇として創作した≪ホラティウス≫を主題とする作品である。本作に描かれるのは、古代ローマとそれに敵対する都市アルバとの争いの中の逸話で、両都市の争いはローマ側からホラティウス兄弟が、アルバ側からはクリアティウス兄弟が代表として戦い決着をつけることが決まったものの、ホラティウス兄弟の中のひとりはクリアティウス兄弟の妹と、クリアティウス兄弟の中のひとりはホラティウス兄弟の妹と婚約しており、主人公であるホラティウス兄弟が自身らに降り注いだ過酷な運命を受け入れ勇敢に立ち向かうという場面であり、画面中央の父から戦わず己の死を選択か、戦い勝利を手にするかを迫られ、各々が抱き合いながら剣へと手を伸ばす愛国的精神や英雄的象徴性は、当時のフランスの社会的情勢(※フランスでは数年後に王政が崩壊し共和的政治が誕生する)や思想的展開とも密接に関わっている。さらに画面右側に描き込まれる兄たちの決意に涙するホラティウス兄弟の妹や母の姿が本作の悲劇性とヒロイズムを強調している。また本作の表現そのものに注視しても、古典主義の巨匠ニコラ・プッサンに倣う、躍動感を排除し、直線的で単純な構成と明確な輪郭線による堅牢で力強い表現や、(当時としては最新の)考古学に基づいた理知的な場面描写、静謐で深い精神性を感じさせる落ち着いた色彩や光彩計画などは、新古典主義の象徴的存在に相応しい堂々たる出来栄えであり、現在も新古典主義の絵画的宣言として西洋絵画史に燦然と輝いているのである。


【全体図】
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息子たちに勝利か死の選択を迫る父。画面中央の父から戦わず己の死を選択か、戦い勝利を手にするかを迫られ、各々が抱き合いながら剣へと手を伸ばすホラティウス兄弟の愛国的精神や英雄的象徴性は、当時のフランスの社会的情勢や思想的展開とも密接に関わっている。



【息子らに勝利か死の選択を迫る父】
互いに抱き合い勝利を誓うホラティウス兄弟。直線的で単純な構成と明確な輪郭線による堅牢で力強い表現や、考古学に基づいた理知的な場面描写、静謐で深い精神性を感じさせる落ち着いた色彩や光彩計画などは、新古典主義の象徴的存在に相応しい堂々たる出来栄えである。



【勝利を誓うホラティウス兄弟】
悲しみに暮れるホラティウス兄弟の妹や母。画家が1783年から翌1784年までの間、自身二度目の滞在となったローマで制作された本作の画面右側に描き込まれる兄たちの決意に涙するホラティウス兄弟の妹や母の姿が本作の悲劇性とヒロイズムを強調している。



【悲しみに暮れる妹や母】

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