Description of a work (作品の解説)
2006/03/15掲載
Work figure (作品図)
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タルクィニアの聖母

 (Madonna Tarquinia) 1437年
114×65cm | テンペラ・板 | バルベリーニ美術館(ローマ)

フィレンツェ派の巨匠フィリッポ・リッピの画業初期において転換的存在となった重要な代表作『タルクィニアの聖母』。フィレンツェの大司教でタルクィニアの領主であったジョヴァンニ・ヴィテレスキの為に制作されたものと推測され、1917年に同地にて発見されたことから『タルクィニアの聖母』と呼ばれている本作は、玉座に鎮座する聖母マリアと、聖母マリアに抱かれる幼子イエスを描いた典型的な≪玉座の聖母子≫を図像に描いたものであるが、それまでの初期作品と比較し、初期フランドル絵画からの影響と考えられる空間構成にフィリッポ・リッピの様式の劇的な飛躍を示している。本作においてフィリッポ・リッピが初めて示した極めて初期フランドル絵画的な日常現実を模した描写と空間の構成については、フィリッポ・リッピのパドヴァ滞在期によって培われたものとする説や、初期フランドル絵画の大画家ヤン・ファン・エイクのイタリア滞在の仮説に基づくフランドル美術からの影響とする説など諸説唱えられている。また玉座に鎮座する聖母マリアの高い聖性を感じさせる慈しみの表情や、肉付きの良い幼子イエスの描写などからは、同じくフィレンツェ派の巨匠であったフラ・アンジェリコと並び称される独自的で非常に高度な技術を要する描写によって、その後のフィリッポ・リッピが手がけた聖母子像の特徴を存分に示している。


【全体図】
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玉座に鎮座する聖母マリアと、聖母マリアに抱かれる幼子イエス。本作はフィレンツェの大司教でタルクィニアの領主であったジョヴァンニ・ヴィテレスキの為に制作されたものと推測され、1917年に同地にて発見されたことから『タルクィニアの聖母』と呼ばれている。



【玉座に鎮座する聖母と幼子イエス】
幼子イエスの聖体を優しく抱く聖母マリアの手。玉座に鎮座する聖母マリアと、聖母マリアに抱かれる幼子イエスを描いた典型的な≪玉座の聖母子≫を図像に描いたものであるが、それまでの初期作品と比較し、初期フランドル絵画からの影響と考えられる空間構成に画家の様式の劇的な飛躍を示している。



【幼子イエスを抱く聖母マリアの手】
日常現実を模した場面描写。本作においてフィリッポ・リッピが初めて示した極めて初期フランドル絵画的な日常現実を模した描写と空間の構成については、フィリッポ・リッピのパドヴァ滞在期によって培われたものとする説や、初期フランドル絵画の大画家ヤン・ファン・エイクのイタリア滞在の仮説に基づくフランドル美術からの影響とする説など諸説唱えられている。



【日常現実を模した場面描写】

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