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聖母被昇天 (Assunta della Vergine) 1513年頃
191×137cm | 油彩・板 | アカデミア美術館(ヴェネツィア) |
16世紀ヴェネツィアにおける穏健派を代表する大画家パルマ・イル・ヴェッキオ初期の傑作『聖母被昇天』。パルマ・イル・ヴェッキオが1510年から移り住んだヴェネツィアのサンタ・マリア・マッジョーレ同信会館が旧蔵し、現在は同地を代表する美術館であるアカデミア美術館が所蔵する本作は、死した聖母マリアが、その3日後に復活を遂げ、肉体と魂が天上へと昇天してゆく、13世紀末から聖母の復活に代わり表現されるようになった場面≪聖母被昇天≫を主題に描いたもので、数年後、若きティツィアーノが描いた同主題の代表作『聖母被昇天』に比べ、穏やかで調和と安定に富んだパルマ伝統の表現が示されている。この温和で秩序的な構図や明るく豊かな色彩、調和と平安を感じさせる登場人物のポーズ、後景に広がる詩情的な風景描写などの表現は急速に発展してゆく前衛的なヴェネツィア派内においても、穏健派と呼ばれた独自性を示すほか、画家の最も優れた個性として後世まで広く認知されている。
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