2008/05/20掲載
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日除けをつけた自画像(日除けを被る自画像)(Autoportrait de Chardin à l'abat-jour) 1775年 46×38.5cm | パステル・紙 | ルーヴル美術館(パリ) 関連:対画 『シャルダン夫人の肖像』
衰えぬ情熱を感じさせる画家の瞳。画面中央やや左寄りに描かれる、薄朱色のリボンのついた頭巾を被り、その上から日除けをつけたシャルダンは、斜めに体躯を構えながら、方向こそ観る者の方へと向けられているが、その視線の先では何か別のものを見ているようである。
【衰えぬ情熱を感じさせる画家の瞳】 瞬間を捉えるかのような素早いタッチ。『シャルダン夫人の肖像』同様、庶民的な衣服に身を包んだシャルダンの姿は王立絵画・彫刻アカデミーの会員として大成した画家とは思えないほど実直であり、まさに一切飾らぬ自身の姿を写している。
【瞬間を捉えるかのような素早いタッチ】
強く光が当たる右肩部分。視力が著しく衰えた為に油彩による絵画制作がおこなえなくなった画家が、パステルを用いることで新たな新境地を開いた最晩年期の作品である本作は、この頃の画家が度々描いてきた自画像作品のひとつである。
【強く光が当たる右肩部分】 |