Description of a work (作品の解説)
2009/03/29掲載
Work figure (作品図)
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黄金の子牛に生贄を捧げるヤラベウム


(Jéroboam sacrifiant aux idoles) 1752年
115×145cm | 油彩・画布 | パリ国立高等美術学校

17世紀から18世紀中頃まで隆盛したロココ様式の大画家ジャン・オノレ・フラゴナール最初期の最も重要な作品のひとつ『黄金の子牛に生贄を捧げるヤラベウム』。パリ国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)に所蔵される本作はソロモン王の息子レバベウム(彼はダヴィデ王の孫にあたる)の家臣で、レバベウムが神の意思によりエルサレムの地を剥奪された後、それを与えられたヤラベウム王の逸話≪黄金の子牛に生贄を捧げるヤラベウム≫を主題に制作された歴史画作品で、本作によってフラゴナールはローマ賞を獲得したことが知られている。本作に描かれる場面は、父なる神の御心によってエルサレムを与えられたヤラベウム王が、それでもなお民衆の心がレバベウムにあるのではないかという疑念から、黄金の子牛の像を崇拝する行為(偶像崇拝)をおこなうものの、それが父なる神の怒りに触れ、祭事中に祭壇が裂け出すと共に、己の右腕が石の様に硬直してしまった瞬間であり、当時の大家であったジャン=フランソワ・ド・トロワシャルル=ジョゼフ・ナトワールの影響を随所に感じさせる点など様式的には典型的なアカデミズム的表現が用いられ、画家としての個性はまだ発揮されていないものの、わずか20歳のフラゴナールが当時の大画家の表現を見事に吸収している点などは、フラゴナールの画家としての類稀な画才を感じさせるのに十分である。画面中央上部には黄金の子牛、その下には煙立つ祭壇が配されており、画面左側には父なる神の(怒りの)意思を伝える司祭、そして右側には司祭を捉えることを命じた直後に自身の右腕が硬直してしまったヤラベウム王が恐怖に満ちた表情で丹念に描き込まれている。


【全体図】
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父なる神の怒りの意思をヤラベウム王へ伝える司祭。本作はソロモン王の息子レバベウム家臣で、神の意思によりエルサレムの地を与えられたヤラベウム王の逸話≪黄金の子牛に生贄を捧げるヤラベウム≫を主題に制作された歴史画作品で、本作によってフラゴナールはローマ賞を獲得したことが知られている。



【父なる神の怒りの意思を伝える司祭】
画面上部に配される黄金の子牛。当時の大家であったジャン=フランソワ・ド・トロワシャルル=ジョゼフ・ナトワールの影響を随所に感じさせる点など様式的には典型的なアカデミズム的表現が用いられているものの、わずか20歳のフラゴナールが当時の大画家の表現を見事に吸収している点などは、フラゴナールの画家としての類稀な画才を感じさせるのに十分である。



【画面上部に配される黄金の子牛】
右腕が硬直し恐怖に慄くヤラベウム王。画面左側には父なる神の(怒りの)意思を伝える司祭、そして右側には司祭を捉えることを命じた直後に自身の右腕が硬直してしまったヤラベウム王が恐怖に満ちた表情で丹念に描き込まれている。



【右腕が硬直し恐怖に慄くヤラベウム王】

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