Description of a work (作品の解説)
2009/08/27掲載
Work figure (作品図)
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朝の散歩(ウィリアム・ハリット夫妻の肖像)

 1785年
(The Morning Waik (William Hallett and His Wife Elizabeth))
236×179cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

18世紀イギリスの偉大なる画家トマス・ゲインズバラ最晩年の傑作『朝の散歩(ウィリアム・ハリット夫妻の肖像)』。本作は1785年7月に若くして結婚した裕福な上流階級ウィリアム・ハレットとエリザベス・スティーブンの結婚肖像画として制作された作品で、おそらくは両者の結婚後とある秋頃に完成したと推測されている。画面前景右側には新郎ウィリアム・ハリットが、中央には(おそらくはウェディングドレスと思われる)上品で質の良い絹地の衣服を身に着けた新婦エリザベス・スティーブンが、そして画面左側前景には伝統的に忠誠を象徴する一匹の犬が、後景には両者の幸福的な現状と未来を連想させる典雅的な風景が広がっている。この光に溢れた風景(後景)に示される軽快で空気感の漂う独特の筆触は、画家の晩年期の様式の大きな特徴であり、17世紀絵画黄金期のオランダ絵画の風景表現に通じながら、ゲインズバラの風景に対する独自的表現の融合を見出すことができる。また本作の画題となる2人の若き新郎新婦の表現や描写手法に注目しても、アンソニー・ヴァン・ダイクに倣う英国の格式を重要視する伝統的な表現と比較すると、明確な自然的調和と滲み出るかのような叙情性を強く感じることができる。これらの表現は当時の英国において非常に革新的であり、このような描写表現による上流階級層の肖像画はステータス・シンボル(社会的地位の高さの象徴)としても流行していた。本作はゲインズバラの画業とその表現様式において、その到達点を示す作品でもあり、現在も画家を考察する上では非常に重要視されている。


【全体図】
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新郎ウィリアム・ハリットの飾らない姿。本作は1785年7月に若くして結婚した裕福な上流階級ウィリアム・ハレットとエリザベス・スティーブンの結婚肖像画として制作された作品で、おそらくは両者の結婚後とある秋頃に完成したと推測されている。



【ウィリアム・ハリットの飾らない姿】
澄ました表情をみせる新婦エリザベス・スティーブン。本作の画題となる2人の若き新郎新婦の表現や描写手法に注目しても、アンソニー・ヴァン・ダイクに倣う英国の格式を重要視する伝統的な表現と比較すると、明確な自然的調和と滲み出るかのような叙情性を強く感じることができる。



【澄ました表情の新婦エリザベス】
忠誠の象徴である一匹の犬。画面前景右側には新郎ウィリアム・ハリットが、中央には(おそらくはウェディングドレスと思われる)上品で質の良い絹地の衣服を身に着けた新婦エリザベス・スティーブンが、そして画面左側前景には伝統的に忠誠を象徴する一匹の犬が配されている。



【忠誠の象徴である一匹の犬】
軽やかな筆触で描かれる光に溢れた風景。この光に溢れた風景(後景)に示される軽快で空気感の漂う独特の筆触は、画家の晩年期の様式の大きな特徴であり、17世紀絵画黄金期のオランダ絵画の風景表現に通じながら、ゲインズバラの風景に対する独自的表現の融合を見出すことができる。



【軽やかな筆触で描かれる風景】

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