Description of a work (作品の解説)
2010/06/10掲載
Work figure (作品図)
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ジャウールとハッサンの戦い(ジャウールとパシャ)


(Le combat du Giaour et Hassan) 1835年
74×60cm | 油彩・画布 | プティ・パレ美術館(パリ)

19世紀フランス・ロマン主義の大家ウジェーヌ・ドラクロワを1830年代を代表する文学主題作品のひとつ『ジャウールとハッサンの戦い(ジャウールとパシャ)』。1835年に制作された本作は、英国ロマン主義文学を代表する詩人ジョージ・ゴードン・バイロン(第6代バイロン男爵卿)が1813年に刊行した、キリスト教文化とイスラム教文化の中で濃密な人間関係を描いた異国情緒溢れる詩篇集≪ジャウール(異端者、邪宗徒。東方物語とも呼ばれる)≫に着想を得て、同作の一場面を絵画化した作品である(ドラクロワ自身、文学を愛好する人物であり、特にバイロンへ強い傾倒を示していたことが知られているほか、本作の構想自体は1824年頃から練られ始めていたことが研究によって明らかとなっている)。本作に描かれる場面≪ジャウールとハッサンの戦い(ジャウールとパシャの争い)≫は、主人公であるジャウールが恋人であった女奴隷レイラを殺害したパシャ・ハッサンへ戦いを挑み、激闘の末に復讐を果たすという内容で、画面中央から左側へ描かれる黒馬に跨りながら黒剣を突き立てんとするジャウールと、白馬に乗りながら短剣を振りかざすパシャ・ハッサンの複雑な構成による姿態はうねりにも似た類稀な躍動感と激しい運動性に溢れている。またジャウールが身に着ける赤色の薄胴着とパシャ・ハッサンが身に着ける緑色の薄胴着、さらに両者が跨る黒馬と白馬の色彩的対比が本作の造形的躍動に対して、より強調させる効果を生み出している。本作の劇的な場面展開に関しては17世紀フランドル絵画の巨人ピーテル・パウル・ルーベンスが残した、レオナルド・ダ・ヴィンチ幻の傑作『アンギアリの戦い』の模写からの影響が指摘されている。


【全体図】
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死闘を尽くすジャウールとパシャ・ハッサン。本作は、英国ロマン主義文学を代表する詩人ジョージ・ゴードン・バイロン(第6代バイロン男爵卿)が1813年に刊行した、キリスト教文化とイスラム教文化の中で濃密な人間関係を描いた異国情緒溢れる詩篇集≪ジャウール(異端者)≫に着想を得て、同作の一場面を絵画化した作品である。



【死闘を尽くすジャウールとパシャ】
激しい戦いでなびく外套。画面中央から左側へ描かれる黒馬に跨りながら黒剣を突き立てんとするジャウールと、白馬に乗りながら短剣を振りかざすパシャ・ハッサンの複雑な構成による姿態はうねりにも似た類稀な躍動感と激しい運動性に溢れている。



【激しい戦いでなびく外套】
もつれ合う黒馬と白馬の色彩的対比。ジャウールが身に着ける赤色の薄胴着とパシャ・ハッサンが身に着ける緑色の薄胴着、さらに両者が跨る黒馬と白馬の色彩的対比が本作の造形的躍動に対して、より強調させる効果を生み出している。



【黒馬と白馬の色彩的対比】

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