Description of a work (作品の解説)
2010/07/20掲載
Work figure (作品図)
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サンタ・クルース公爵夫人


(La marquesa de Santa Cruz) 1805年頃
130×210cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

スペイン・ロマン主義最大の巨匠フランシスコ・デ・ゴヤの代表作『サンタ・クルース公爵夫人』。本作は画家の重要なパトロンであった第九代オスーナ公爵家の長女で、微笑みの美女として称えられるほか、1801年にサンタ・クルース公爵と結婚した当時21歳の≪ホアキーナ・テリェス・ヒロン≫をモデルに、諸芸術を司る9人の女神ムーサのひとり歌と踊りを司る≪テルプシコラ≫に扮した姿を描いた扮装肖像画作品である。画面中央やや左側へ長椅子へ横たわる姿で描かれるサンタ・クルース公爵夫人は、当時(ナポレオン帝政時代)の最新室内着である大きく胸元の開いた白絹の衣服を身に着け、古代ギリシア風の竪琴(古代風ギター)を傍らに観る者と視線を交わらせている。サンタ・クルース公爵夫人の表情は生気に溢れるというよりも、むしろやや陰鬱でどこか終焉的な影を見出すことができる。さらにそれは人生の終着を意味する冬の前に実る秋の果実≪葡萄≫の冠を頭上に乗せていることでより強調されている。様式としてはフランス新古典主義の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッドの代表作『レカミエ夫人の肖像』を彷彿とさせるほど古典的であるものの、画面前景の明部と画面奥の暗部との不気味な対象性や夫人が身に着ける艶やかな白絹の質感と赤い長椅子の色彩的対比など全体的にどこか死生的かつ陰惨的で、描かれる対象(サンタ・クルース公爵夫人)、さらには画家自身の絵画的方向性や運命性すら感じることのできる独自的な世界観は、今も観る者に強烈な印象を与える。


【全体図】
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どこか不安定な印象を受ける夫人の表情。本作は画家の重要なパトロンであった第九代オスーナ公爵家の長女で、1801年にサンタ・クルース公爵と結婚した当時21歳の≪ホアキーナ・テリェス・ヒロン≫をモデルに、諸芸術を司る9人の女神ムーサのひとり歌と踊りを司る≪テルプシコラ≫に扮した姿を描いた扮装肖像画作品である。



【不安定な印象を受ける夫人の表情】
当時の最新流行であった白絹の室内着。画面中央やや左側へ長椅子へ横たわる姿で描かれるサンタ・クルース公爵夫人は、当時(ナポレオン帝政時代)の最新室内着である大きく胸元の開いた白絹の衣服を身に着け、古代ギリシア風の竪琴(古代風ギター)を傍らに観る者と視線を交わらせている。



【最新流行であった白絹の室内着】
夫人が手にする古代ギリシアの竪琴。画面前景の明部と画面奥の暗部との不気味な対象性や夫人が身に着ける艶やかな白絹の質感と赤い長椅子の色彩的対比など全体的にどこか死生的かつ陰惨的で、描かれる対象、さらには画家自身の絵画的方向性や運命性すら感じることのできる。



【古代ギリシアの竪琴】

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