Description of a work (作品の解説)
2009/10/25掲載
Work figure (作品図)
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カルロス4世の家族


(Familia de Carlos IV) 1800-1801年頃
280×336cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

18世紀後半から19世紀前半期にかけて活躍したスペイン絵画界の偉大なる巨匠フランシスコ・デ・ゴヤの代表作『カルロス4世の家族』。本作は1799年にゴヤが宮廷の首席画家へ任命された翌年(1800年)から1年近くかけて制作されたスペイン国王≪カルロス4世≫一家の集団肖像画であり、ゴヤは本作を完成させる為に首都マドリッドから王族一家の住むアランフェスの離宮へ数回通い10点にもおよぶ人物単体の肖像画を習作として制作している。画面中央に実質的な支配者であった王妃(パルマ公フィリポの娘)マリア・ルイサ・デ・パルマが幼いふたりの子供ドーニャ・マリア・イザベル(左)と赤い衣服を身に着けたフランシスコ・デ・パウラを寄せている。幼いパウラの隣には愚鈍とも揶揄された国王カルロス4世が凛々しい姿で配され、その奥には左から(本作中で最も扱いの小さい)アントニオ・パスクアルとドーニャ・カルロータ・ホアキナ、そしてパルマ公ドン・ルイスとその妻ドーニャ・マリア・ルイサが息子である幼児カルロスを抱く姿で描かれている。画面左側に眼を向けてみると、最左端から国王カルロス4世の次男ドン・カルロス・マリア・イシドロ、その隣には鮮やかな青い衣服を身に着ける後のフェルナンド7世、流行していたつけぼくろを付けた国王の姉マリア・ホセファ、そして皇太子の未来の花嫁として顔を背けた若い女性(当時はまだ皇太子の花嫁が誰になるか何も決まっていなかった)が配されており、さらに画面左側奥では深い陰影に包まれた画面に向かうゴヤ自身の姿が描き込まれている。王妃マリア・ルイサは出来栄えに大変満足したと伝えられている本作は、前世紀の大画家ディエゴ・ベラスケスによる王族一家の集団肖像画『ラス・メニーナス(女官たち)』を意識しつつも、形式性や格調性の強調に明らかに作為的な意図を見出すことができる。特に13名にも及ぶ国王一族のわざとらしさすら感じさせる公式的側面の強い平面的配置や、奥行きの無い空間構成、非常に運動性の少ない硬直とした身体描写、それらとは対照的な眩い光を放つ輝きを帯びた色彩描写などには、王族に対するゴヤの真摯で実直な観察眼による忠実的表現を感じずにはいられない。


【全体図】
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豪奢な衣服に身を包む威厳的な王妃マリア・ルイサ。画面中央に実質的な支配者であった王妃マリア・ルイサ・デ・パルマが幼いふたりの子供ドーニャ・マリア・イザベルと赤い衣服を身に着けたフランシスコ・デ・パウラを寄せている。



【豪奢な衣服の王妃マリア・ルイサ】
画家が仕えていた国王カルロス4世の姿。幼いパウラの隣には愚鈍とも揶揄された国王カルロス4世が凛々しい姿で配され、その奥には左から(本作中で最も扱いの小さい)アントニオ・パスクアルとドーニャ・カルロータ・ホアキナ、そしてパルマ公ドン・ルイスとその妻ドーニャ・マリア・ルイサが息子である幼児カルロスを抱く姿で描かれている。



【画家が仕えていた国王カルロス4世】
フェルナンド7世とマリア・ホセファ、顔を背ける未来の花嫁。画面最左端から国王カルロス4世の次男ドン・カルロス・マリア・イシドロ、その隣には鮮やかな青い衣服を身に着ける後のフェルナンド7世、流行していたつけぼくろを付けた国王の姉マリア・ホセファ、そして皇太子の未来の花嫁として顔を背けた若い女性が配されている。



【フェルナンド7世と未来の花嫁】
静かに観る者へと視線を向けるゴヤ自身の姿。13名にも及ぶ国王一族のわざとらしさすら感じさせる公式的側面の強い平面的配置や、奥行きの無い空間構成、非常に運動性の少ない硬直とした身体描写、それらとは対照的な眩い光を放つ輝きを帯びた色彩描写などには、王族に対するゴヤの真摯で実直な観察眼による忠実的表現を感じずにはいられない。



【ゴヤ自身の姿】

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